知る人ぞ知る傑作として、少しずつ認知が広がっている『若おかみは小学生!』。
あなたは、もうご覧になりましたか?
え? まだ観てない……。それは残念です。本当に、残念です。
この『若おかみは小学生!』は、大人から涙を搾取する名作映画ですよ!
令丈ヒロ子先生の児童文学が原作の今作。原作は、講談社青い鳥文庫より刊行され、現在すでに累計発行部数300万部を超えるベストセラー。まさに待望の映画化といったところでしょうか。
この名作映画を、暇人の私は、平日の朝から観てきたわけです!今回はチネチッタ川崎に観に行きました。全国199館で上映しているらしいので、あなたもすぐさま劇場へ行き「おろおろ」と泣いてください!
児童文学と銘打ってますが、実際は、大人が感動する作品になっています。もちろん、子供が楽しめるように、様々な遊び心が詰まっている作品なのですが、子供には分からない大人だから分かる悲しみや、切なさがそこには描かれています。
それと、「承認欲求」や「膨れ上がった自尊心」、それから「自己顕示欲」に苛まれている現代人に響く内容にもなっています。
このブログでは、前半部分はネタバレなし、後半部分はネタバレありで話を進めていきます。「これから観る予定」という人は、ネタバレなしの部分まで読んで、行くかどうか検討してみてくださいね!
「もう観に行ってきた!」というあなたは、ネタバレありのところまで、読んでもらえると嬉しいです。では、『若おかみは小学生!』がどんな作品なのか見ていきましょう!

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- 新海誠や有名クリエイターから絶賛の嵐!
- これだけは押さえるべき!重要キャラの紹介
- 「忘我」と「奉仕」が人を救うこともある(ここからネタバレあり)
- 作中で活きる!スタジオジブリのエッセンス
- 過去・現在・未来をおもてなしする、おっこ
- 原作にないシーン!原作にない舞台!
- 能力の共有は感情の共有にもつながる!真月の「弱さ」が垣間見えた瞬間
新海誠や有名クリエイターから絶賛の嵐!
まずは、『若おかみは小学生!』のあらすじをご紹介します。
まだネタバレなしなので、ご安心くだされ。。。
小学6年生のおっこは交通事故で両親を亡くし、おばあちゃんが経営する旅館<春の屋>に引き取られることに。旅館に昔から住み着いているユーレイのウリ坊や、美陽、子鬼の鈴鬼(すずき)、ライバル旅館の跡取り・真月(まつき)らと知り合ったおっこは、ひょんなことから春の屋の若おかみ修業を始めることに!慣れない修業に、毎日失敗の連続。落ち込むおっこだったけど、不思議な仲間に助けられ、いろんなお客様と触れ合い、もてなしながら、少しずつ成長していく。
だいたいは、こんな感じの物語です。少し補足すると、交通事故で両親を失ったおっこは、花の湯温泉という温泉地で過ごすことになります。
この花の湯温泉がかなり作りこまれているんですよ。ちょっとした小道や、木造の建物、旅館の造形、それから神社など、細部に至るまで緻密に描かれており、背景だけでも美しさに見とれてしまいます。
今作で美術設定を担当したのは、『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ』で日本アカデミー賞最優秀美術賞を受賞された、矢内京子さんです。有馬温泉をモデルに作られた背景には、電柱などの無駄な要素が一切なく、理想の温泉郷といったイメージ。この映画を観たら、間違いなく温泉地に行きたくなりますよ(笑)
おっこは、この美しい花の湯温泉の「春の屋」という旅館で、若おかみとして、おばあちゃんを手伝うようになります。「春の屋」は京都の旅館「美山荘」をモデルにしているんだとか。こうした現地への取材をみっちり行ったことで、作品全体の説得力が高まっているように感じます。
両親を失ったばかりでつらいはずなのに、それでもおっこは「春の屋」で、お客さんをもてなし、元気よく前向きに成長していく。このひたむきな姿に多くの観客は胸を打たれたのでしょう。
事実、業界人からは今作『若おかみは小学生!』を称賛する声が相次いでいるんです!
例えば、『君の名は。』で大ヒットを飛ばした新海誠監督。
映画『若おかみは小学生!』、素晴らしかったー! 幾度も笑わされ、何度か泣かされました。それもとても巧みで自然な演出で。アニメーションとしても技術的に見所だらけですが、物語としてとても素敵でした。まだ終わって欲しくない、もっとこの主人公を観ていたいと劇場で思ったのはいつぶりだろう。
— 新海誠 (@shinkaimakoto) September 23, 2018
新海監督のおっしゃる通りで、主人公のおっこの成長を一緒に体験できるように描かれているんです。だから、もっと、ずっと、おっこの成長を見ていたくなる。まぁ、原作は20巻も続いている長編で、それを90分に凝縮しているわけですから。「もっと見せて!」と思うのは、当然なのかもしれません。
それから、『GANTZ』や『いぬやしき』で有名な漫画家の奥浩哉先生。
映画、若おかみは小学生! 観て来ました! やたらと評判が良いので観ましたが、評判通り 非常にクオリティの高い良作でした!勿論泣きました!
— 奥 浩哉 (@hiroya_oku) October 3, 2018
純粋に質の高い児童文学をジブリ作品と遜色ない作画と演出で作りあげられてました!大人にも子供にも幅広く楽しめる作品でした!オススメです!
今作には、『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』、『風立ちぬ』など数々のジブリ作品で作画監督を務めてきた高坂希太郎監督や、『崖の上のポニョ』で美術監督を務めた吉田昇さんなど、ジブリ出身の凄腕クリエイターが集結しています。だからこそ、『若おかみは小学生!』という名作が生まれたのです!色彩豊かな背景や、匂い立つようなお料理、躍動感あふれるアクションシーンなど、まさにハイクオリティの詰め合わせといっても過言ではありません。
それから、それから、『ちはやふる』で知られる漫画家の末次由紀先生や、『モテキ』の久保ミツロウ先生など、有名クリエイターからの称賛の嵐が吹き止まない状況です。著名人だけでなく、一般客の反応も非常によく、映画情報サイトFilmarksの初日満足度ランキングでは、なんと1位に輝いています!玄人も素人も納得の作品に仕上がっているわけです。
これだけは押さえるべき!重要キャラの紹介
それでは、どんなキャラクターが花の湯温泉の舞台で活躍するのか、重要人物に絞って見ていきましょう。
おっこ(関織子)cv:小林星蘭

今作主役のおっこは小学6年生の女の子。両親を交通事故で失い、おばあちゃんが経営する「春の屋」で若おかみとして働き始めます。前向きだけど、おっちょこちょいで、理屈よりも気持ちで行動するところが魅力の1つ。お客様のために、必死に動き回る姿にあなたもきっと心を奪われるはず!幽霊が視えたり、ちょっと変わった能力を持っています。それと、虫やヤモリが苦手なのですが、これはちゃーんと伏線になっています。
真月(秋野真月)cv:水樹奈々

おっこと同じ花の湯小学校に通う小学6年生の女の子。花の湯温泉で一番大きな旅館「秋好旅館」の跡取り娘で、「春の屋」の若おかみのおっこをライバル視している。努力家で、しっかり者なのはいいけれど、プライドが高く、高圧的な態度に出てしまうところが玉に瑕。いわゆるツンデレキャラで、おっこには、ついつい強い態度をとってしまいます。いつもピンクのフリフリを着ていることから、学校では「ピンフリ」と言われ、そのことはかなり気にしている様子。少し背伸びして、ヘロドトスなどの歴史上の有名人の引用で喋ることがあります。背伸びした態度と、実は繊細な心のコントラストに魅力を感じるキャラですね。
ウリ坊(立花誠)cv:松田颯水、美陽(秋野美陽)cv:遠藤璃菜、鈴鬼cv:小桜エツコ

ポスターを見て、「あれ? 半透明のキャラがいる……」なんて思った人もいるかもしれませんね。そうなんです、今作には幽霊が出てきます!
浅黒い肌の男の子がウリ坊で、この子は春の屋に住み着いた幽霊です。おっこのおばあちゃんが幼少期に好きだった男の子で、生きていたらすでに70歳を超えています。関西弁の陽気な男の子で、おっこが困った時に助けてくれます。
白い髪の美少女は美陽という女の子で、この子も幽霊です。秋野美陽という名前から分かる通り、実は真月のお姉ちゃんです。真月が生まれる前に7歳で亡くなってしまったため、幼少期の姿のままになっています。妹の真月が心配で、秋好旅館に住み着いています。
幽霊以外にも鈴鬼という小鬼が出てきます。ウリ坊、美陽、鈴鬼の3人は、物語上の指南役として、おっこを助けてくれます。おっこがピンチなときは、この子たちが現れて励ましてくれるのですが……実は……
ほかにも、魅力的なキャラクターがいますが、あとは劇場で確認していただきたい!
ということで、ネタバレなしはここまで。
さて、ここから先は、ネタバレありの内容なので、まだ観てない人は観に行ってから、読んでくださいね。
「忘我」と「奉仕」が人を救うこともある(ここからネタバレあり)
「ありがとう」と素直に言いたくなる作品、それが私にとっての『若おかみは小学生!』でした。というのも、これは「自意識」という呪いから解放してくれる作品なんです。
両親を失って、本来ならば絶望するはずのおっこが、なぜあんなに元気でいられたのか?そこには、「誰かのために自分を忘れて奉仕する」若おかみとしての仕事があったからなんじゃないかと私は思うのです。ただ一人でふさぎ込むのではなく、毎日を充実して生きることが大切なんだということを改めて思い知らされました。例えば、失恋で悲しい時も、仕事や趣味を充実させれば、その悲しみから解放されるはずなんです。
「自分のことばかり」でいっぱいになってしまうと、自意識につぶされてしまいます。しかし、「誰かのために」と視点を変えれば、内向きだった思考が外へ向かい、苦しみから遠ざけてくれる。「忘我」と「奉仕」が人を救うこともあるのです。
もちろん、会社に奉仕するばかりの「ブラック企業」は問題ですが、「奉仕」そのものを「悪」と考える姿勢もどうかと思うのです。「自立」という言葉の意味を勘違いして、自己中になっている人も少なくありません。
どうにも近頃の私たちは、権利意識と自意識に囚われていて、誰かのために何かをすることが無くなっているような気がします。お互いが自己主張をするばかりで、相手のことを考えて行動できていないから、結局、相手から評価されず、自意識の悪循環に陥っていく。互いが互いに独り言を吐いているだけの会話になっている。
けれど、「誰かのために」行動すれば、自然と「ありがとう」という言葉が返ってくるはず。そして、感謝されれば人は嬉しいものです。
「あんな風に喜んでもらえるなんて旅館の仕事ってすごいね!」
これはおっこのセリフです。私はこのセリフに心を動かされました。人は感謝されることで、自分の存在を認められたと感じるのかもしれません。この映画は誰かを喜ばせるために作られています。だから、私も自然と「ありがとう」と言いたくなってしまう。「自分、自分……」で自家中毒に陥っている現代人への処方箋的な作品なのかもしれませんね。
作中で活きる!スタジオジブリのエッセンス
先ほども紹介しましたが、今作『若おかみは小学生!』の監督を務めたのは、スタジオジブリで多くの名作に携わってきた高坂希太郎監督です。『風の谷のナウシカ』、『天空の城ラピュタ』では原画を担当し、『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』では作画監督を担当。その後、『茄子アンダルシアの夏』で初の長編アニメ監督を経験し、今作の『若おかみは小学生!』の監督に至ります。
今作ではジブリ出身のクリエイターが多いこともあり、ジブリのエッセンスが存分に活かされた作品となっていました。粘り気のある液体表現は、やはりジブリ譲りのものを感じますし、話の仕掛けや構成においてもジブリ風味のものを感じました。
例えば、「ウリ坊や美陽が視えなくなる」という演出は、『魔女の宅急便』を思い起こさせます。『魔女の宅急便』では、途中からキキは、ジジの声が聞きとれなくなってしまいます。キキが人として成長するのと同じくして力を失う。得るものがあれば、失うものもあるというメッセージが、そこには込められていますよね。

今作のウリ坊や美陽は、『魔女の宅急便』で言うところのジジと同じような役割を果たしています。ジジはキキが困っている時にアドバイスを与えてくれる存在。いわば、心のよりどころなんですよね。『若おかみは小学生!』のウリ坊や美陽もそこは同じで、おっこが困っている時にアドバイスをくれたり、落ち込んでいる時に励ましてくれたりする存在として登場します。
しかし、おっこが「自立」し始めて、成長するにしたがって、徐々にウリ坊や美陽が視えなくなってしまう。これは、ジジの声が聞こえなくなるキキと同じですよね。何かに頼るのではなく、自立する。あるいは卒業する。「持っていた能力を失う」ことで成長するという一種のイニシエーションを描いているんですね。ジブリのエッセンスを感じる、素晴らしい演出だと思いました。
加えて、物語の構造自体に『千と千尋の神隠し』のエッセンスも感じます。『若おかみは小学生!』の話は、簡単に言うと、「お客様を接客しているうちに自分も成長し救われる」お話です。その点は、『千と千尋の神隠し』も似ており、こちらも千尋という女の子がお客様を接客しているうちに自分も成長し救われるお話と言えます。他者とのつながりの中から、救いを得るという構造は共通しています。

ジブリのエッセンスが随所に感じられながらも、リアリティと幻想の微妙なバランスの中に描かれる独特な世界観で、『若おかみは小学生!』は他にない味わいを放つ作品となっているのです!
過去・現在・未来をおもてなしする、おっこ
『若おかみは小学生!』の原作は20巻に及ぶ大長編シリーズ。その中から、どの話をピックアップするかが、劇場版のポイントだったと思います。その点では、高坂監督の手腕が存分に発揮されています。今作は高坂監督がプロットを組み、それに従って吉田玲子さんが脚本を執筆する流れで制作が進められたそうです。
高坂監督の抽出した話が、かなりバランスよく1つの作品の中にまとめられた印象があります。というより、たくさんいるキャラの中から、選んだお客様が見事に、おっこにとって意味深い人ばかりでした。

今作では計3組お客様が登場します。
1組目は、神田幸水と神田あかねという親子です。あかねは、母親を亡くして心身ともに弱っている状態で、春の屋旅館に招かれます。母親を失った辛さから、おっこに対して捻くれたことばかり言うあかね。ですが、同じように親を失ったおっこの真っ直ぐな姿勢に心を打たれて、立ち直ります。もうお分かりだとは思いますが、このあかねは、おっこの映し鏡でもあります。同じような年頃で、同じように親を失っている。あかねには、おっこの現在が映し出されているのです。
2組目は、グローリー・水領という占い師の女性。スタイル抜群の美女ですが、実は付き合っていた男性に振られたばかりで、心が弱っている。旅館に訪れた当初は、ほとんど食事をとらない状態だったのですが、おっこの明るい姿に励まされ、元気を取り戻していく。グローリーは誰かのために、占い師の仕事をしています。その点では、おっこと共通しており、年上のお姉さんということもあって、おっこの未来・将来の姿としてとらえることもできます。
3組目は、木瀬文太・木瀬寅子・木瀬翔太の親子。とくに注目したいのが、木瀬翔太という小さな男の子です。両親に囲まれて楽しそうにしている様子は、過去のおっこと重なります。それだけではありません。翔太くんが、ヤモリを石でつぶそうとしているシーンで、おっこはそれを「かわいそうでしょ」と言って止めます。以前はものすごく嫌がっていたはずのヤモリなのに、それを手でつかむんです。自分の過去の姿である翔太と、成長したおっこがこのシーンでしっかりと対比するように描かれています。
このように、おっこは自分の「現在」・「未来」・「過去」を思わせるお客様をおもてなしすることで、成長していくのです。このお客様の選別がドンピシャで、作品のテーマの軸をきちんと1つに保っている感じがしました!
原作にないシーン!原作にない舞台!
高坂監督への取材記事などを見ながら、驚いたのですが、今作には原作にないシーンがいろいろと盛り込まれているようです。
その1つが神楽のシーンです。
花の湯温泉名物の神楽を、最初と最後に登場させることで、おっこの成長を描くことに見事に成功しています。というのも、最初は見上げているだけだった神楽を、最後にはおっこ自身が舞うようになっていたのですから。綺麗にお話がキュッとまとまった印象があります。衣装もきらびやかで美しかったですし、神楽のシーンがあったからこそ、ライバルの真月との対立と葛藤が描けたのだと思います。絶対にそりの合わない2人が共同作業しなければならない、こういった状況を作りだすのは話を盛り上げる時に重要ですよね!で、最終的にどちらかがどちらかに頼る、きちんとお互いを認める、こうした段階を踏むことが構成上重要なのかもしれません。

それと、木瀬親子の登場には驚きました……。
これも原作にないらしいのですが、最後のお客様として招かれるのが、木瀬文太という、おっこの両親を死なせてしまった加害者なんですよ。これは衝撃ですよ。おっこが絶対に接客できない相手として、登場するわけです。木瀬親子はまさに、おっこの過去を象徴する存在と言えるでしょう。しかし、木瀬親子の登場があったからこそ、最後の「私は春の屋の若おかみです」につながったのだと思いますし、あそこで、おっこは自分自身の過去と決別し、本当の意味で前に向かって歩き出したのだと思います。「人を許す」ことで成長する。そこに人としての力強さを感じました。被害者に加害者をあわせるという構図は、様々な作品で応用されそうですね。

「花の湯温泉のお湯は誰も拒まない。すべてを受け入れて、癒してくれる」このセリフは劇中に何度も出てきます。親の死を再認識することでおっこは、自分を見失ってしまいますが、最後にはこのセリフに至ります。この映画で全編を通して描かれていたのは、「寛容」の姿勢なのかもしれません。
能力の共有は感情の共有にもつながる!真月の「弱さ」が垣間見えた瞬間
最後の最後、神楽のシーンに行く前に、大木の下で湯につかって体を清めるシーンがあったと思います。おっこと、真月が並んで、白装束姿で湯につかる。そこで真月はふと、幽霊の話を持ち出します。
「わたしも、辛い時や落ち込んでいる時、誰かの励ます声が聞こえた」と、真月は語ります。それは、自分が生まれる前に亡くなった姉の声ではないか。そして、もし姉が生きていたなら会ってみたかったと話し涙を流します。
真月が初めて「弱さ」を見せるシーンです。「弱さ」を見せるというのは、心を許した証でもあります。最後の最後で、ようやっと真月は、おっこに心を許したのでしょう。前半からずーっとツンツンしてばかりいたので、このデレは非常に破壊力がありました。
しかも、真月の気持ちを考えると結構切なくなります。というのも、真月は「秋好旅館」という大旅館の跡取り娘として、凄まじいプレッシャーを感じているはずなんです。そのプレッシャーをプライドに変換して、真月は頑張ってきた。けれど、どこかで「お姉ちゃんがいたら、少し頼れたのに」、もっと言えば「甘えられたのに」という気持ちがあったのではないでしょうか。そう考えると、最後の涙の裏にはとても深い感情があったのかもしれません。
さらに言うと、ここで初めて、おっこと真月は「能力の共有」を経験します。もちろん、幽霊が視えるのと、幽霊の声が聞こえるのとでは、レベルが違いますが、しかし、「心が弱くなった時に幽霊に励まされる」点では共通しています。つまり、2人とも弱い部分を持っていて、その弱い部分の表れが「幽霊を感じる」という能力となって出てきていた。それをお互いが共有したことで、初めて、お互いの弱さを知ったのかもしれません。このように、「能力の共有」が「感情の共有」につながるというのは設定の妙であると言えますし、非常に汎用性の高い手法と言えるでしょう。
と、まぁ、以上が『若おかみは小学生!』の感想になります。あくまでも、私の勝手な個人的な感想ですからね。まだ観てない人は、実際に観に行くことをおすすめします!ここでも語り切れないくらいの魅力がたくさんあります。
おっこのファッションショーや鯉のぼりのアクションシーンなど、遊び心満載で最後まで飽きない作品になっています!
あまりにも名作だったものですから、思わずパンフレット買っちゃいました!
制作の裏側とか、美術設定のこだわりなど、見所たくさんのパンフレットでしたよ!
この機会に原作を読んでみるのもいいかもです!

若おかみは小学生! 花の湯温泉ストーリー(1) (講談社青い鳥文庫)
- 作者: 令丈ヒロ子,亜沙美
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/04/15
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今回はこの辺で終わりにしておきまーす!
何かおすすめのアニメとか、小説とか、映画とかありましたら、ぜひコメントで教えてくださいね!
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では!
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