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『グリーンブック』の感想・ネタバレ解説!実話をもとにした感動のロードムービー!差別は相互理解で乗り越えよ!

これまで数多くのバディムービー・ロードムービーが作られてきましたが、これほどまでに完成度が高く、こんなにも人々の心を打つ作品があったでしょうか?

どうしようもないほどに切ないのに、どこまでも笑ってしまう、観客を笑い泣き状態にしてしまう、まさにエンターテインメント性とメッセージ性の両方を内包した傑作。それが、私にとっての『グリーンブック』でした。

もちろん、それは私だけが抱いた感想ではありません。

劇場では最初から最後まで、観客の笑い声やすすり泣く声が、響いていました。それはまさに、多くの観客が作品の世界に引き込まれていたことを表していますし、何より『グリーンブック』が、それだけのパワーを持っている作品であることも同時に示しています。

事実、『グリーンブック』はアカデミー賞で3部門(作品賞・助演男優賞・脚本賞)を受賞。ゴールデングローブ賞でも同じく3部門(作品賞・助演男優賞・脚本賞)で賞を獲得しており、世界中で多くの人の涙腺から涙を絞り出しているのです。私も完全に、涙を絞り取られた人間の1人。その1人として、『グリーンブック』の良さを語らねばならないと思い、今回筆をとりました。

『グリーンブック』の画像
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昨今のアカデミー賞受賞作を見ていると、人種差別性的マイノリティをテーマとして扱っている作品が多い印象を受けます。トランプ政権の誕生後、世界各地で拡がっている人種差別やヘイトクライムの動きへのアンチテーゼとして、これらの作品は機能しているのだと思います。

メキシコとアメリカの国境に壁を建設するどころの話ではなく、アメリカ全土に人種間の精神的な壁が構築されつつある――。その状況を危惧しているからこそ、こうした作品が台頭してくるわけですし、そして『グリーンブック』という作品が世界を席巻していることから分かる通り、人々は差別や分断を乗り越えなければならないことを認識し始めているのかもしれません。

『グリーンブック』は、1960年代の黒人に対する人種差別がまだ色濃く残っている時代を舞台にしている作品です。作中に出てくる数々の人種差別。しかし、それらは実は他人事ではないことを、観客は知ることになります。

現在のアメリカがそうであるように、世界中で人種間や宗教間での分断や差別が常態化しています。日本ではなじみのないテーマだと考えられることが多いですが、そんなことはありません。

これは男女差別に置き換えることだってできますし、年齢による差別だって、私たちの国にはあります。けっして、他人ごとではない。

『グリーンブック』は、いまの社会が抱えている問題を映す「鏡」でもあります。時代性をがっしり掴んだ今作は、きっと人々の心の壁を取り払い、相互理解の時代へと進む一助になってくれることでしょう。

gaga.ne.jp

さて、もう『グリーンブック』の感想をすべて語ったような感じになっていますが……。まだまだ、お話したいことがたくさんあります。ここからは、私なりに『グリーンブック』の魅力について、ネタバレ全開で語っていこうと思います。映画を観終わった皆さんは、ぜひともお楽しみくださいませ!

『グリーンブック』のあらすじ

www.youtube.com

1962年、ニューヨークの一流ナイトクラブで用心棒をしていたトニー・“リップ”・バレロンガは、ナイトクラブの改装にともなって、新しい仕事を探していた。そんな時に舞い込んできたのが、黒人ピアニスト、ドクター・ドナルド・シャーリーの運転手としてアメリカ南部へのコンサートツアーに同行するという仕事だった。1960年代当時のアメリカ南部は、まだ黒人への差別意識が色濃く残っていた。どうしてそんな地域にわざわざ出向きコンサートをするのかトニーにはさっぱりわからない。がさつで無学、でも心優しいトニー。そして、音楽、心理学、典礼芸術の博士号を取得し、カーネギーホールの上に自宅を構える、博学で天才的なピアニスト、シャーリー。人種も考え方も全く違う2人は、果たして無事にコンサートツアーを乗り切ることができるだろうか?

『グリーンブック』の主要キャスト

  • トニー・“リップ”・バレロンガ:ヴィゴ・モーテンセン
  • ドクター・ドナルド・シャーリー:マハーシャラ・アリ
  • ドロレス・バレロンガ:リンダ・カーデリーニ

(HPを参照:公式サイトABOUT THE MOVIE | 映画『グリーンブック』公式サイト)

『グリーンブック』の主要スタッフ

  • 監督・製作・共同脚本:ピーター・ファレリー
  • 製作・共同脚本:ニック・バレロンガ
  • 撮影:ショーン・ポーター
  • 音楽監修:トム・ウルフ
  • 音楽:クリス・バワーズ
  • 音楽編集・音楽監修:マニシュ・ラヴァル

(HPを参照:公式サイトABOUT THE MOVIE | 映画『グリーンブック』公式サイト)

『グリーンブック』の魅力① セリフに頼らない洗練された演出!(※ここからネタバレ注意)

『グリーンブック』の脚本は、共同脚本を担当した一人、ニック・バレロンガが自分の父から聞いた話を基に、書かれています。この時点で作品のリアリティは高いレベルで実現されていると言えるでしょう。

実話ベースというリアリティを担保したうえで、監督・共同脚本を務めたピーター・ファレリーの巧みな演出によって『グリーンブック』は切ないだけではない、重層的な魅力を持つ作品に仕上がっていました。

監督のピーター・ファレリーは、『ジム・キャリーはMr.ダマー』で監督デビュー。それ以後25年近くコメディ映画の監督としてその手腕を発揮してきました。『グリーンブック』は初のシリアスな作品ということで、業界内では、その舵取りに驚く人も少なくなかったようです。

とはいえ結果的には、ピーター・ファレリーがこれまで磨いてきたコメディ力のおかげで、作品のクオリティはグッと上がりました。事実『グリーンブック』には、シリアスな場面とコメディの場面がバランスよく配置されており、シーンごとに緩急をつけることにも成功しています。

演出において特に優れていたのが、小道具の使い方。『グリーンブック』は、「小道具の教科書」と言ってもよいくらい巧みに小道具を使っている作品です。トニーやシャーリーの心情の変化を表現するために、劇中ではさまざまな小道具が、非常にうまく使われています。

2人の思い出が1つの「石」に

例えば、物語の序盤で出てくる「」。パーキングエリアにトニーとシャーリーが立ち寄った時、トニーが地面に落ちた売り物の「石」をくすねるシーンがありましたよね。

「石」を盗んだことをシャーリーに咎められたトニーは半分怒りながら、その「石」を店のカウンターに戻します。このシーンは、トニーとシャーリーのちょっとした言い合いを、笑いながら楽しめるようになっていました。

物語の終盤、トニーを送り届けたシャーリーは、カーネギーホールのだだっ広い自宅で、あの時の「石」を手に取り眺めます。この時、セリフは一切ありません。けれども、シャーリーが旅の出来事や、トニーと過ごした日々に想いを馳せていることは、観客の誰もが自然と分かるようになっています。序盤では、単に価値観の違いを表す象徴だったものが、物語が進むなかで、思い出の結晶としてその意味合いを変化させているのです。

優越意識から解放されたシャーリーは「玉座」に座らない

終盤のシーンでもう1つ注目していただきたい小道具が「イス」です。トニーとシャーリーが初めて会ったとき、シャーリーは玉座のような背の高いイスに座っていました。しかし、終盤、コンサートから帰宅し、1人で「石」を眺めるシーンでは、玉座ではなく普通の高さのイスに座っています。

おそらくですが、これもシャーリーの変化を表しているのではないかと考えられます。序盤、シャーリーは教養や実績で自分の社会的地位の高さをアピールしている印象がありました。言葉を選ばずに言えば、少し偉そうだったわけです。

しかし、トニーと同じ時間を過ごすなかで、このシャーリーの優越意識のようなものはなくなり、最終的にトニーとフラットな関係を築いていくことになります。優越意識がマックスだった序盤では背の高い玉座に座り、トニーとフラットな関係になった終盤では普通の高さのイスに座っています。イスの高さが、シャーリーの優越意識の高さを暗喩していたと言えるかもしれませんね。

「手紙」という共同作業が2人の心を近づけた

あとは何と言っても「手紙」ですよね。手紙は『グリーンブック』で、かなり重要な役割を果たしている小道具です。教養のないトニーは、ドロレスに手紙を書くにしても、幼稚なことしか書けない。

シャーリーはそんなトニーを見て、「手紙はこう書くものだ」と手助けする。手紙はトニーとシャーリーの仲を一気に縮める装置として大きく機能していたように思います。手紙の執筆という共同作業があったからこそ、互いの気持ちが近づいたのかもしれませんね。

シリアスな「銃」とコメディな「銃」

これは余談ですが、「」の使い方も絶妙でしたね。物語の中盤、南部へのコンサートツアーの最中、夜中にバーに出向いたシャーリーを複数の白人が袋叩きにする痛々しい場面。

トニーは相手を威嚇するために、銃を持っているかのような仕草を見せます。シャーリーは「本当に銃を持ってるのか?」と尋ね、トニーは「持ってるわけないだろ」と答えます。

物語の終盤、車を物色する物取りを威嚇するために、トニーは本当に銃を取り出して空に向けて一発放ちます。シャーリーは驚いて「やっぱり銃持っていたじゃないか」と言う。ここは笑うポイントになっていました。

物語の中盤ではシリアスなシーンで銃が使われていましたが、終盤ではコメディシーンで銃が使われています。シリアスからコメディへのふり幅が大きくなるため、終盤のシーンがより笑えるものとなっているのです。中盤がフリ、終盤がオチと考えるとわかりやすいかもしれません。

ファレリー監督の得意技がさく裂といったところでしょうかね。緊迫なシーンの次には、お笑いのシーンを入れることで、『グリーンブック』という作品は、私たちを安心させつつも、きちんと泣かせるようにも出来ていました。

シリアスとコメディの往復運動を楽しめる作品ですね。ただシリアスなだけの作品よりも、こういったふり幅の大きい作品のほうが、観客の心の動きも大きくなり、結果的により大きな感動を引き起こすことができるのかもしれませんね。

『グリーンブック』の魅力② ピアノの演奏で表現される心の動き!

『グリーンブック』は音楽映画としても優れていました。演奏がうまかったという話ではなく、演奏を通してシャーリーという人物の心の揺らぎを感じられた点が素晴らしかったのです。

1960年代当時のアメリカ南部では、夜中に出歩いているというだけで、黒人は警官に逮捕されてしまいます。シャーリーはまさに、その被害に遭った一人です。この件をきっかけにトニーとシャーリーの仲は少しこじれてしまいます。この後、シャーリーは、コンサートでいつもどおり演奏しますが、どこか荒々しい指さばきにも見えます。

反対に、バーで即興演奏する時は、なんとも軽やかに楽しそうに演奏していました。本当は演奏したいけれど、させてもらえないクラシック。シャーリーは、場末のバーで思う存分、自分を解放して、そのクラシックを弾いていました。そして、それはどこまでも彼らしい演奏でした。

つまり、シャーリーの心の動きを、ピアノの旋律がなぞっているのです。心の動きとピアノの旋律がシンクロしていると言ってもよいでしょう。ピアノとシャーリーの心のハーモニーを観客は楽しむことができる。心に響く音楽を提供している点でも『グリーンブック』は非常に優れた1作と言えるのです。

『グリーンブック』の魅力③ シャーリーが教えてくれる暴力の正体。

トニーはナイトクラブの用心棒だったこともあり、カッとなるとすぐに手が出てしまいます。そんなトニーをたしなめるように、シャーリーは「暴力は無意味だ。品位を身に着けろ」と口を酸っぱくして語りかけます。 

ここで彼の言う「暴力」とは、何を指しているのでしょうか?当然、トニーがしてしまうような物理的な暴力は「暴力」の代表例です。では、「権力」はどうでしょうか?実はこれも、使いようによっては暴力になりえます。むしろ物理的な暴力以上に、危険なものかもしれません。

例えば、大統領のような大きな権力を持つ人間が、人種差別を助長するような発言をしたらどうなるでしょうか?答えは簡単。その発言に呼応した人間が、人種差別を良いものとして理解し、ヘイトクライムを起こすかもしれません。

権力は暴力として機能するのです。

シャーリーは劇中で、こうした暴力の正体を私たちに教えてくれています。

トニーが警官を殴って刑務所に入れられた時、シャーリーは暴力の無意味さを説きます。シャーリーは、のちに司法長官に就任するロバート・ケネディに電話をかけることで、刑務所から出ることに成功します。しかし、シャーリーは浮かない顔です。

シャーリーは、ロバート・ケネディの仕事を妨げてしまったことを悔いていましたが、同時に「権力」に頼ったことに対しての罪悪感も抱えていたように見えます。

シャーリーは「暴力」以外の方法で人の意識を変えようとした人です。この点は、同時代に活躍していたマーティン・ルーサー・キング牧師の「非暴力闘争」の姿勢とも重なります。

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これは私の憶測ですが、シャーリーは上記で書いたような、権力が持つ暴力性について理解していたと思います。

にもかかわらず、仕方がなかったとはいえ、シャーリーはロバート・ケネディという権力に頼ることになりました。そのため「権力という暴力に頼ってしまった」という後悔を強く持ち、浮かない顔をしていたのかもしれません。シャーリーのセリフや態度から、私は、暴力がさまざまなところに潜んでいることを改めて認識させられました。

『グリーンブック』の魅力④ 「言語理解」という新しい仲直りの方法!

とある出来事をきっかけに、トニーはチェロ奏者のオレグと険悪な仲になります。しかし、トニーがシャーリーの考えに理解を示すようになってから、2人は仲直りします。その仲直りの方法が、興味深いものでした。

物語の終盤、ロシア人のオレグに対してトニーはドイツ語で挨拶していました(※トニーは、ロシア人のオレグのことをドイツ人だと思い込んでいたため、ドイツ語で挨拶をしていたようです)。相手の言語を使うことによって、トニーは相手に寄り添う姿勢を示したのです。これは面白い手法だと思います。トニーの場合はオレグのことをドイツ人だと勘違いしていたようですが、どちらにせよ、相手の言語に寄り添おうとする姿勢自体がここでは重要だと思われます。

ほかにも、シャーリーが最後、トニーの家に遊びに来た時、シャーリーはトニーの家族にイタリア語で挨拶していましたよね。このように『グリーンブック』では、相手の言語を使うことが、友好の印として機能しているのです

ともすれば言語は、人種間の分断を明確にするものでもありますが、互いに互いの言語を使えば、その言語の壁を崩すこともでき、相互理解への道が開けます。言語理解が相互理解を生むというやり方は新しいだけでなく、作品のテーマとも合致しており、かなり考え抜かれた手法だと感じました。

『グリーンブック』の魅力⑤ 「人種差別の服」、「インテリの服」を脱ぐためには、相互理解が欠かせない!

あなたは他人を見下したことがありますか?

私はあります。誰でもそういう経験はあるはずです。 さて、ではどうして人は他人を見下してしまうのでしょうか?その理由はいくつもありますが、ここでは便宜的に2つに絞らせていただきます。

まず、1つめ、人を見下してしまうのは、相手のことを良く知らないからです。相手の悪い部分や噂など、偏った情報だけで人を評価することで、相手を自分よりも劣っていると判断し、いつの間にか見下しているわけです。相手の特技や長所を知ったら、思った以上に優秀な人だったということもあるのに、その可能性を排除してしまっているのです。

人を見下してしまう理由の2つめは、自分を守りたいからです。例えば、誰かに馬鹿にされたとして「このままだと自分は一番馬鹿な人になってしまう」と思った人はどうするのか?そういう人は、自分よりも賢くない人を探します。そして、その人を指さし「お前は私より馬鹿だ」と言って自分の優越性を高めて安心しようとします。

これらを踏まえて、さて『グリーンブック』の2人はどうでしょうか?実はこの2人も最初は他人を見下しています。トニーは黒人が口をつけたコップを捨てるほど黒人を見下げています。

対して、シャーリーは教養のないトニーのような男をどこか下に見ています。シャーリーの優越意識は、背の高い玉座に座っているところからも窺い知れますよね。

ではなぜ彼らは人を見下す心を持ってしまったのでしょうか?実は、先ほど見下す理由の2つめに挙げた「自分を守りたいから」という点で2人は共通しています。

トニーはイタリア系のアメリカ人。トニーは「イタ公」と馬鹿にされることに強い嫌悪感を持っています。思わず警官を殴ってしまったのも「イタ公」と言われたことが原因でした。『グリーンブック』では、黒人に対する人種差別にフォーカスしていますが、実際は黒人以外の移民も差別の対象だったのです。トニーは差別を受けていたからこそ、自分よりもさらに弱い立場の黒人を差別することで、優越意識を保ち自分を安心させていたのです。

一方、シャーリーは、教養を身に着け、音楽、心理学、典礼美術で博士号を取得し、ピアニストとしての実績も申し分ないものばかり。黒人として普通に生活していると、差別を受ける可能性は高いですが、シャーリーのように理論武装し輝かしい経歴を持っていれば、差別される可能性は減らせます。

自分を守るという目的もあって、シャーリーは、あれだけの優秀さを手に入れる必要があったのかもしれません。しかし、自分を守るための理論武装だったはずが、いつの間にか優越意識も付帯してくるようになり、教養のない者を見下げる姿勢が出来上がってしまったのでしょう。

はじめのころ、トニーとシャーリーはお互いに見下し合う関係だったと言えます。しかし、彼らはそれを乗り越えて、見下すのではなく、互いに理解し合う関係性にシフトしていきます。その時に重要なのが相互理解です。

互いが互いを見下していた時は、まだ互いの長所も短所も知らない状態でした。けれども、ともに旅をしていく中で、互いのことを深く知るようになり、知ってみると、「思ったよりいいやつ」という認識に変化していきます。

シャーリーはトニーに品位と教養を教え、トニーはシャーリーに気持ちを正直に伝えることの大切さを教える。互いの短所を、互いの長所で補い合う関係性が出来上がっていくと、それまで持っていた偏見やら優越意識やらがなくなっていき、やがて2人はフラットな関係を構築するようになります。

相互理解することで、それまでトニーが着ていた「人種差別の服」は脱ぎ捨てられ、それまでシャーリーが着ていた「インテリの服」もはがれ落ちていったのです。高いところから見下していた2人が階段を下りて、平らな場所で握手を交わせるようになったと言ってもよいでしょう。

『グリーンブック』で描かれているのは、差別してしまう人間の性と、それに立ち向かう方法としての相互理解です。問題提起するだけの作品は星の数ほどありますが、問題に対してきちんと回答を示している作品は意外と少ないものです。『グリーンブック』は、問題を投げかけながら、その解決策もしっかり提示しており、作り手の誠実さを感じることができます。

『グリーンブック』の感想!まとめ

はい、ということで、今回は『グリーンブック』について私の勝手な感想を書いてきました。『グリーンブック』は本当に傑作だと思います。まだ観ていない方がいましたら、すぐにでも劇場に行ってほしいです。

人との出会いが、自分の価値観を変えるのだなと、私は思いましたよ。

最初は金のために仕事をするトニーだったのに、後半はシャーリーという一人の友のために行動していましたからね。「黒人は入れない」と、シャーリーのレストランへの入店を拒否されるシーンで、その従業員から「いくら払えば、帰ってもらえる?」と言われ、トニーが激怒するところは感動しました。

それまでのトニーだったなら、金で釣られた瞬間にレストラン側の言うことを聞いていたでしょう。けれども、シャーリーの人柄や考えを知っているトニーは、金ではなく友のために、怒るわけです。

シャーリーのほうも、最初はなんでも召使にやらせていたのに、トニーの人柄に惹かれて、なんとしてもクリスマスまでに家に帰らせるために、シャーリーは自ら車を運転していました。これも大きな変化です。全く違う2人だからこそ、よい変化を互いにもたらしたのかもしれませんね。

 

はっきり言って、BDが発売されたら即購入したいくらい『グリーンブック』は感動した作品です。誰かに酷いことを言われて落ち込んだり、人間関係がうまくいかなくて困ったりしているとき、『グリーンブック』は、皆さんを後押ししてくれるでしょう。差別や分断が進む現代だからこそ見て欲しい!間違いなくおすすめの1作です!

あ、ちなみに、今作の主題歌が個人的に結構好きなので、紹介しておきますね。

ぜひ、聴いてみてください!


Green Book - In Select Theaters 11/16, Everywhere 11/21 ("I Count On Me" Music Video) [HD]

こんなところで、今回のレビューは終わりにしておきます。

それでは、また次の映画レビューでお会いしましょう!

さようなら~~(^^)/