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『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第3話の感想&考察!主犯は梓澤で確定か!?そして、ビフロストの拠点も明らかに!?

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第3話の画像
©サイコパス製作委員会

「つまり慎導監視官の父親は、イグナトフ監視官の兄を殺して自殺した?」 

第3話では、灼と炯の並々ならぬ関係性が明らかになりましたね。まさか、加害者の子どもと、被害者の遺族がタッグを組むなんて、誰が予想できたでしょうか。

たしかに、灼と炯の言葉の端々に、2人の過去がつながっていることは示唆されていましたが、ここまで込み入った人間関係だとは思いませんでしたね。被害者同士が結託して~~という展開はよくあると思うのですが、被害者側と加害者側がバディーになるというのは、なかなかに珍しいですよね。

まぁ、厳密に言えば、灼の父親も被害者の可能性が高いので、本当の意味では被害者と被害者のバディーなのかもしれませんけどね。慎導篤志に関しては、以下の「慎導篤志ってシビュラシステムを知っていたんじゃないの?」で少し考察していますので、気になる人はそちらをご覧ください。

第3話はとにかく、いろいろな情報が開示されましたね。まず、炯の兄の死が2年前ということが判明したので、その兄を殺したとされる慎導篤志の事件、そして、現在、幽閉されている常守朱の事件は、おそらく同時期(2年前)に起こっているものと推察されます。2年前というと、開国政策へ国が舵を切ろうとしているタイミング。そこから考えると、やはり『PSYCHO-PASS サイコパス 3』は「開国派 VS 鎖国派」の対立構造を基盤にしているお話であると考えられます。

 

それと、これは余談になるのですが、最近気づいたのが、サイコパスの放送時期とサイコパスの年表ってきちんと対応しているのですね。サイコパスファンなら、皆さんお気づきだと思うので、「今さらになって何を言ってるんだ?」という感じだとは思うんですけど、お恥ずかしながら、今さらになって気づきました。

まず、サイコパス第1期の放送は2012年から。そして、サイコパス第1期の劇中の時間は2112年ちょうど100年後に設定されていることがわかります。サイコパス第2期の放送は2014年で、第2期の物語の舞台は2114年です。今作『PSYCHO-PASS サイコパス 3』の放送は2019年で、サイコパス3の劇中の時間は2120年となっています。

このように、サイコパスのテレビシリーズでは、放送時期と劇中の年表におけるズレが、おおむね100年程度に統一されています。『PSYCHO-PASS サイコパス 3』に関してはピッタリ100年ではなく、1年だけズレていますが、よく考えてみると、2020年って東京オリンピックじゃないですか。外国人が大勢押し寄せるという点において、劇中の開国政策とテーマ的に重なると思いませんか?

サイコパスの中の2120年と、現実の2020年は、実は「外国人が急激に増える」という部分で共通点があるわけです。

このように、現実との関係性の中で、サイコパスシリーズを観てみると、また別の面白さが発見できるかもしれませんね。

さて、前置きはこのくらいにして、それでは『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第3話を観て、気づいたこと・感じたことをネタバレ全開で書いていこうと思います!

 

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『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第3話「ヘラクレスとセイレーン」のあらすじ


TVアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス 3」ノンクレジットOP

アイドル政治家・小宮カリナのメンタルケアを担当していた脳科学者・土谷荒城(つちやこうじょう)の転落死。一見、自殺とも思われる土谷の死に事件性を見出した慎導灼(しんどうあらた)炯(けい)・ミハイル・イグナトフは、関係者への事情聴取を開始する。

灼が小宮カリナへの聞き取りを進める一方、炯と廿六木は、都知事選候補の薬師寺・ヘラクレス・康介への事情聴取を進めていた。薬師寺陣営のスタッフとして、執行官・廿六木の親類が関わっていることが判明する。

灼は捜査対象である小宮カリナへメンタルトレースをおこなうが、深刻な副作用により意識を失ってしまう。だが、事態を知らされた炯の対応により、灼は意識を取り戻す。改めて小宮の得体の知れなさに警戒を強める2人。

その後、ホテルのデータへのクロス検索により、土谷の死の当日、薬師寺の第一秘書・リー・アキが宿泊していたことが明らかとなる。刑事課一係はリー・アキへの事情聴取を開始。しかし、聴取の合間、何者かに突然襲われる刑事課一係とリー・アキ。リー・アキは襲撃者によって殺されてしまう。逃亡する襲撃者を追いかける灼と炯。炯は襲撃者の1人を確保するものの、一方の灼は襲撃者を逃がしてしまう。

事件後、リー・アキを襲撃したのは、薬師寺と都知事選で争っている小宮陣営ではないか、という噂が広がり、それまで優勢だった小宮への支持率が低下。反対に、薬師寺の支持率が逆転することになった。ホテルを襲撃した犯人が、街頭スキャナに引っ掛からなかった点を疑問に感じた刑事課一係は、かつて入江が縄張りにしていた廃棄区画の1つ・茗荷谷付近への調査を開始。

襲撃者が戦闘に慣れていることから考慮し、地下格闘を主宰している榎宮春木(えのみやはるき)のもとへ向かう。かつて茗荷谷で生活していた入江の口利きで、一係は榎宮への事情聴取へこぎつけるが、榎宮は襲撃者について記憶にないと答える。任意同行を求めたにもかかわらず、その理由を尋ねてこない榎宮の反応を見て、灼は榎宮が事件に関与している可能性を考えるが、榎宮にとってのメリットについては判然としないままだった。

後日、炯は廿六木を連れて、再び薬師寺陣営の事情聴取を試みる。しかし、炯は廿六木に対する「劣等遺伝子」の発言にカッとなり、薬師寺陣営のスタッフを殴ってしまう。民間人への暴行に対して、炯は職務停止及び、監視官適性と犯罪係数の再診断を命じられる。

そのころ、執行官たちは雛河の調べた監視官2人の情報を見ていた。そして、明らかになる灼と炯の並々ならぬ関係性。灼の母親は安楽死、父親は自殺。さらに、炯の兄は、2年前、灼の父・慎導篤志によって殺されていたのだ。灼と炯は、被害者の遺族と、加害者の子どもという、実に奇妙な関係を孕んだバディーだった――。

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第3話の感想&考察① 改めて感じた『踊る大捜査線』の構造について

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』の第3話を観て、サイコパスシリーズには、本広克行監督のメソッドが引き継がれているなぁと感じました。本広克行監督と言えば、サイコパス第1期では総監督、そして、国民的警察ドラマ『踊る大捜査線』でも監督を務めたことで有名ですよね。実を言うと、『サイコパス』と『踊る大捜査線』は、組織内における人間関係を描くという点がかなり似通っています。

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まず、『踊る大捜査線』と『サイコパス』の共通点の1つが、「キャリア」対「ノンキャリア」という対立構造です。

踊る大捜査線の場合は、所轄の刑事・青島と警察官僚の室井が、この対立構造を持っています。そして、サイコパスでは、監視官執行官が、この対立構造を持っています。

執行官は単純な意味でのノンキャリアではありませんが、シビュラ社会において潜在犯認定された時点で、キャリアは無くなったも同然。監視官と執行官の間には、大きなキャリアの溝があると言っていいでしょう。それこそ、青島と室井のように。

キャリアの溝があることで、最初は人間関係がギスギスします。しかし、ともに仕事をする中で、キャリアの溝や互いの偏見が解消されていき、対立関係から信頼関係へ人間関係が変貌を遂げます。最初の悪い関係性と、その後の良い関係性。この2つの間のギャップが大きければ大きいほど、ドラマチックな展開となり、視聴者が感情移入しやすくなるのです。

対立もなく淡々と事件が解決されても面白くないですが、このように内部での対立関係があると、「あんなにギスギスしていたあいつらが……仲良くなってる!」みたいな感じで、最終的に手を取り合ったときのドラマ的な盛り上がりが演出できますよね。

『踊る大捜査線』では、青島と室井が分かり合った後、内部での対立構造が解消されたため、劇場版では真矢みきの演じる警視正・沖田仁美という、現場を軽んじるキャリア組を用意する必要がありました。真矢みきのキャラに、以前の室井の役割を担わせたわけです。

『サイコパス』でも、監視官(=キャリア)と執行官(≒ノンキャリア)の間で生じる摩擦は描かれていますよね。第1期では、宜野座と執行官の間にこうした対立構造が組み込まれていましたし、第3期でも、特に炯と入江・廿六木の間には明らかに溝がありましたよね。

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第1話で、入江と廿六木は勝手な行動をして、炯を困らせていました。しかし、第3話では廿六木の事情を知った炯が共感する描写が見られ、人間関係が良化しました。まぁ、炯は職務停止になっちゃいましたけどね。とはいえ、部下を馬鹿にされて怒るという人間味の溢れるよいシーンでした。

それから、灼と入江も、距離が縮まりましたよね。それまでは、「キャリアだなんだ」と言って灼のことを悪く見ていた入江でしたが、灼が入江の考えに歩み寄る姿勢を示したことにより、2人の関係は良好なものとなりました。

キャリアの溝によって発生した関係性の不和も、互いの思想を理解したり、互いの共通項を知ったりする中で、徐々に解消されていく。この構造は、本広監督が『踊る大捜査線』で使っていたものと似ています。

「キャリア VS ノンキャリアという構造から生まれる思い込みと対立」→「共通項や人間性の理解による思い込みの解消」→「信頼関係の構築」

サイコパスでは、ミステリーラインとは別に、こうしたドラマ的なプロットが裏側で走っているものと考えられます。マイナスからプラスへのふり幅を大きくすることによって、感動を生む方法を『SAVE THE CATの法則』と言うのですが、サイコパスではこの法則が存分に活かされていますね。

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第3話は特に、SAVE THE CATの法則がうまく使われていたので、改めて本広監督の警察ドラマプロットを紹介させていただきました!

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第3話の感想&考察② 炯は「入国者差別」と「遺伝子差別」の2つにキレた!

炯がついにブチ切れましたね!

前回の第2話でも憤る様子が見られましたが、第3話では完全に誰が見ても分かるレベルで切れましたね。

怒りの順番としては、

  1. 「ヤクザに「この国から入国者は出ていけ!」と言われる(第2話)」
  2. 「炯の妻・舞子・マイヤ・ストロンスカヤの診察で病院を訪れた際、入国者に対しての差別発言を受ける(第3話)」
  3. 「薬師寺陣営への事情聴取の際、執行官・廿六木に対する「劣等遺伝子」発言を聞いて切れる(第3話)」

第2話から第3話にかけて、炯の怒りが増していく様子を段階的に描いている点が作劇としてうまいなぁと思いました。徐々に沸点が上がっていく姿が見られたので、民間人を殴るシーンにもある種の納得感がありました。

ここで注目したいのは、「炯が何に対して怒ったのか」という点です。前回のブログでも触れましたが、炯は第2話でヤクザの「入国者」というワードを聴いた瞬間に、ドミネーターの引き金を引きました。

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そして、第3話で新たに見られたのが「劣等遺伝子」という言葉に対する炯の怒りです。薬師寺の事務所で廿六木が親族から罵詈雑言を吐かれたシーン。ここでポイントなのは、炯は「入国者」のワードではなく、「劣等遺伝子」という別のワードで切れたところです。ヤクザの時も、妻を病院へ連れて行った時も、いずれも「入国者」に対する差別発言で、炯は憤りの様子を見せていました。

しかし、廿六木が罵倒された時、最終的に殴るポイントになったのは「劣等遺伝子」という言葉でした。「入国者」と「劣等遺伝子」は、よく考えると、全く別のワードですよね。つまりは、炯は2つの異なる怒りのポイントを持っていると考えられるわけです。

まず、「入国者」への差別発言に怒るのは、自分や妻が入国者だから当然と言えます。しかし、なぜ「劣等遺伝子」の言葉に怒りを覚えるのでしょうか?もちろん、自分の部下を貶されたことに対する怒りもあるでしょう。しかし、そのほかにも個人的な、極めてドメスティックな怒りが根底にあったのではないかと思います。

というのも、公式ホームページのキャラクター紹介欄には「正義感が強く生真面目な性格だが、家族のことでは熱くなりやすい一面も」と書かれています。普段はクールな炯ですが、家族の事となるとカッとなりやすいわけです。そこから考えると「劣等遺伝子」という言葉に怒りを示したのは、劣等遺伝子という言葉と家族に何らかの関係性があるから、もっと言えば、家族の事を馬鹿にされたと感じたからなのかもしれません。

つまり、炯の家族は「入国者への差別発言」と「劣等遺伝子という差別発言」の両方に苦しめられた過去があると思われます。あまり、こういうことは考えたくありませんが、妻の舞子は目が悪いですよね。そのことを上記の言葉で、差別された経験があるのかもしれません。だからこそ、炯は家族としてその差別発言が、最も許せないのでしょう。炯は「入国者への差別」と「障害者への差別」という2つの差別と闘っているのかもしれません。

ちなみに、炯ではなく、灼の母親は「遺伝子疾患による長期闘病の末、安楽死」と、プロフィールに書かれていました。ここでもまた「遺伝子」ですよ。炯は灼の家族の事も知っていると思われますので、「劣等遺伝子」という言葉から、灼の母親のことを連想して殴った可能性もあります。

「入国者」と「遺伝子」という言葉から考えられる、『PSYCHO-PASS サイコパス 3』のテーマは、おそらく「多様性」。外国人だから、遺伝的に劣っているから、障害を持っているから、など、様々な理由で不当に差別を受けている登場人物たちが、その差別と向き合い、本質的な意味での多様性とは何か?を追求していく物語なのかもしれませんね。

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第3話の感想&考察③ 脚本的に考えて小宮カリナはシロ。ミスリードされている件について

おそらく上記の「劣等遺伝子」発言は伏線になっているものと推察されます。

薬師寺陣営のバックアップをしている「優生党」ですが、この党名は正直あまり好ましいものではないですよね。優生とは、簡単に言えば、優れた遺伝子を保って子孫に残すこと。薬師寺は、優れた遺伝子の持ち主ですから、党名としてはピッタリかもしれませんが、裏を返せば、優れた(あるいは、優れたと判断された)遺伝子を持たない人は、どうなってしまうのでしょうか?

この党名には、遺伝的資質に対する差別意識が内在しているものと考えられます。何しろ、薬師寺を裏で支えている廿六木一族の人間が「劣等遺伝子」という言葉を平気で使うわけですから、炯が危惧している遺伝的な差別が公然として行われる可能性が十分あります。差別思想を持っていようがサイコパスの優れた人間が社会的な成功者になる社会。そんな選民的な社会を目指している可能性すら考えられます。

そこで、対抗馬として重要になってくるのが、肯定党の小宮カリナの存在。第2話から第3話にかけて、小宮は要注意人物として扱われていますが、私の読みでは、もしかすると、極めて真っ当な目的を持っている可能性がありそうですね。

第2話のラストで、灼が小宮カリナを怖い人だと言い、第3話ではメンタルトレースに失敗し、一時的に意識不明の状態に陥ります。このように、炯とのエレベーターでの会話を含め、やたらと小宮を警戒人物として描写している印象があります。しかし、これは、いわゆるミスリードであると考えたほうが妥当だと思います。

ミスリードのやり方としてはベーシックな方法ですが、例えば、容疑者Aと容疑者Bがいたとします。このうち容疑者Aが真犯人だった場合、作家としては当然ながら、真犯人だとバレないために、「容疑者Bが怪しいですよ」と誘導する必要があるわけです。この場合、容疑者Bの怪しい情報を何度も出していき、もう容疑者Bの事しか考えられないという状態にするのが建設的な方法と言えます。

今回で言うと、薬師寺陣営と小宮カリナ陣営の2つの陣営があるにも関わらず、一係はなぜか小宮を警戒してばかりです。薬師寺への事情聴取は行っていますが、疑っている様子が一切描かれない。これは、明らかに変です。バランスとしておかしい。

薬師寺の第一秘書であるリー・アキが殺害されたあとも、世間で出回っている小宮カリナ陣営の犯行である可能性に引っ張られており、薬師寺陣営が得をしていることへ言及がされていない。

しかも、薬師寺陣営に事情聴取へ行った際も、炯が相手を殴ったことにより、薬師寺陣営への聴取はうやむやに終わっています。さらに、廿六木への差別発言に対する同情や、廿六木と炯の人間関係の良化に感情が動かされて、肝心かなめの事件に薬師寺陣営がどう関わっているのか?という点から見事に関心が逸らされています。

このように、やたらと小宮を怪しむ描写が多いからこそ、土谷を殺した黒幕やリー・アキを殺害した黒幕は別にいるのではないかと私は考えています。

むしろ、第2話で死に際に土谷が「彼女を助けなければ」と発言していることから考えて、小宮こそ命を狙われているんじゃないのか?と思うほどです。土谷は最後の最後まで連絡をしようと試みていました。あれは、小宮に危険を知らせるためだったのではないでしょうか。

とはいえ、正直なところ、現時点で犯人は誰なのか判然としません。ただし、上記で説明した通り、脚本的に考えて小宮が黒幕である可能性は極めて低いです。もちろん、何かしらの野心を持っているだろうとは思われますが、少なくとも土谷の殺害やリー・アキの殺害には関与していないものと推察されます。

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第3話の感想&考察④ 土谷を殺したのは誰?新たなインスペクターの犯行か!?

現状、土谷の殺害は、榎宮の犯行である可能性が高いですよね。あるいは、梓澤がリック殺害事件の時と同様、プランメーカーとして行動した可能性も考えられます。いずれにしても榎宮か梓澤のどちらかが、主犯と考えるのが妥当でしょう。

ここでは便宜的に榎宮が主犯だった場合を想定して考えてみましょう。梓澤と会話しているシーンでは、「ファーストのやり方を真似ただけ」と口にしていました。「ファーストのやり方」とは、リックの殺害と同様、自殺に追い込む方法のこと。もし本当にファーストと同じやり方を採用しているのなら、土谷の飛び降り自殺しかありません。

その後のホテルの襲撃は、梓澤のやり方とは明らかに異なりますからね。ということは逆に言うと、土谷を殺害したのが榎宮陣営だとしても、ホテルの襲撃は違う人間が主導した犯行だと推察されます。

ここが謎なんですよね。ホテルの襲撃については榎宮も把握しかねている感じでしたから、もしかすると、まだ顔を見せていない別のインスペクターの仕業なのかもしれません。

私が注目したのは、ホテルでのリー・アキの事情聴取の際に、一瞬だけ映り込む3人のホテルマン。3人のうち、灼が追いかけて取り逃がした犯人がいましたよね。彼はどうやら車で逃げたようですが、あまりにも準備が良すぎると思いませんか?まるでどこに車があるのか、事前に分かっていたかのような手際の良さです。

もしかすると、3人以外にもあらかじめ車を用意していた人物がいるのかもしれませんね。そして、逃げてくる仲間を乗せて逃亡を図った。

まぁ、上記は全部、私の推測ですけどね。榎宮も関知していない別のインスペクターがいて、ホテルの襲撃を実行したと考えるのが、一番しっくりきます。とはいえ、小宮が何かを隠しているのも間違いないので、第4話では彼女の秘密が何かと、新たなインスペクターの可能性を考えながら観てみようと思います。

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第3話の感想&考察⑤ 主犯はプランメーカー・梓澤廣一で確定か!?一連の事件の共通点について考えてみた

ファースト・インスペクターの梓澤って、一見、何も主義主張がない人間に見えますよね。純粋にゲームを楽しんでいるというか、純粋に殺しをアートとして楽しむサイコパスに見えますよね。私も途中までは、ニヒリスティックな享楽主義者なのかなと思っていたのですが、意外とこの人、思想を持っているかもしれませんよ。

というのも、梓澤がオーナーを務める喫茶店で、女性2人が小宮カリナについて話している場面がありました。梓澤は彼女たちの席に割って入り、アフタヌーンティーというイギリスの文化に対して、批判的な発言をします。他国の文化に対する攻撃。これはまさしく、鎖国派らしい話し方だと思います。もしかすると、梓澤は鎖国派なのかもしれません。前回のブログでも書きましたが、やはり『PSYCHO-PASS サイコパス 3』の根底には「開国派 VS 鎖国派」の対立構造が設けられていそうですね。

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また、リックの殺害事件、土谷の転落死、慎導篤志の死には、共通点があります。それが、「自殺に見せかけている」という点です。梓澤自身が、「俺は必ず相手に自分自身を始末させる」と言っていましたよね。「自殺」というキーワードで考えれば、上記の3つの事件は重なります。どれも自殺に見せかけられているのです。まだ確かなことは言えませんけど、やはり梓澤は一連の事件の主犯として濃厚な存在ですね。

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第3話の感想&考察⑥ 慎導篤志ってシビュラシステムを知っていたんじゃないの?

オープニングを観て、違和感を覚えたところがありまして、それがサビの部分。激しくカットが切り替わる中、慎導篤志の姿が一瞬だけ画面に映ります。しかも、慎導篤志が立っているのは、シビュラシステムと思しき脳みその群れの上です。液体に足首を浸かっている状態で立っています。

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慎導篤志は厚生省のお偉いさんですから、シビュラシステムの存在を何らかのタイミングで知ることになった可能性はあります。命を狙われた原因は、ここにあるのかもしれませんね。

慎導篤志が謎なのは、ビフロストと近しい関係にあるインスペクターとして活動していた可能性がある点です。ビフロストはシビュラの監視から逃れることを1つの目的としています。

にも関わらず、監視を逃れるどころか、シビュラを管理・運営している厚生省の人間をわざわざインスペクターとして招き入れるなんて、なんか変ですよね、これ。ダブルスパイみたいなことをしていたんですかねぇ。今のところは、何とも言えませんね。

ただ、慎導家についてもう1つ気になるのが、母親の安楽死。安楽死させる理由は何だったのか、この母親の死と慎導篤志の行動には何らかの因果関係がありそうです。第4話以降は、母親の死に何が隠されているのかについて注目してみようと思います。

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第3話の感想&考察⑦ カードって何?ビフロストで得られる権利について

 「ところで君は、今どのカードで生活している?」と、ビフロストの代銀遙熙が法斑静火に質問する場面がありました。

ここで思ったのが、「カードって何ぞや?」という疑問。

ずっとこの言葉が謎だったのですが、劇中、法斑が高級ホテルのロビーで呼び止められるシーンがありましたよね。ここで、カードの意味がちょっと垣間見えたような気がします。

「ここから先は、オーナー専用のエリアとなっております」と言われ、ホテルマンに呼び止められる法斑だが、「今日から私がオーナーです」と名刺を差し出す。このやり取りから分かるのは、今までそのホテルの支配人でも何でもなかった法斑が唐突に、支配人としてのステータスを手に入れたということ。

先述した「カード」とは、このことなのかもしれません。ビフロストで勝負に勝つと、カードが手に入る。そして、そのカードとは、誰かの「身分」であると考えるのが妥当でしょう。法斑は前回のリレーションに勝ったため、かなりの配当を受けています。その配当として、誰かの肩書や身分を自由に使う権利が得られるのではないでしょうか?

前提として、ビフロストは、シビュラシステムからの「自由」を追求しています。では、ここで言う自由とは何でしょうか?おそらく、それは選択制の自由だと思われます。シビュラ社会においては、仕事も恋人も自動的にシステムによって決められます。

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ビフロストはこのシビュラシステムによる選択制の排除に対して、アンチテーゼを唱えているものと推察されます。自分で選択する余地があるからこそ、そこに自由が生まれるという思想が根底にあるのではないでしょうか。ビフロストで確保できるのは、社会ステータスの選択、あるいは、社会的身分の自由な選択であると考えられます。

上記を考慮して考えると、先ほどの代銀の言葉はこうなります。

ところで君は、今どの身分を選んで生活しているんだい?

もしかすると、インスペクターにも、この肩書を自由に変更する権利は与えられるのかもしれませんね。なんといっても、ファースト・インスペクターの梓澤が、法斑と同じように、喫茶店のオーナーを名乗りながら名刺を差し出していましたから。

「怪しまれて」→「名刺を出し」→「オーナーだと伝える」構図がどうにも似ています。肩書の選択制が、ビフロストのコングレスマンとして、あるいはインスペクターとして得られる権利の1つなのかもしれませんね。

ビフロストについて、第3話でもう1つ気になったのが、外観です。第1話のブログでも解説しましたが、ビフロストの内観は映されるものの、外観は映されないままでした。外観が分からないので、彼らの拠点が一体どこにあるのかも把握できませんでした。

しかし、第3話の冒頭、コングレスマン同士の会話のあと、とある港湾都市の俯瞰映像に切り替わります。ここから、ビフロストはあの港湾都市のどこかに存在するものと考えられます。全く関係のない外観を差し込むとは、思えないですからね。

あの港湾都市がどこなのか現時点では明確にされていません。ただし、ヒントならあります。例えば、第2話において、メンタルの弱い与根原を切り離して、些々河哲也が逃亡するシーンがあったと思います。

あの時、些々河が逃亡先として選んだのは出島の会社。出島と言えば、海に面した港湾都市で、たしかサイコパスSSの時にも出てきましたよね。

インスペクターの些々河が逃亡先として選んでいることから、そして外観として港湾都市が映されたことから、ビフロストの拠点は出島にあるのではないかと推測されます。

では、なぜ出島なのか、そこまでは分かりません。出島と言えば「貿易」ですから、この辺りに注目して今後の展開を観ていきたいと思います。

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第3話の感想&考察のまとめ

いやぁ、疲れた。前回、前々回のブログより文字数は確実に減っているのですが、第3話はこれまで以上に情報量が多かったので、頭の中で処理するのに時間がかかりました。『PSYCHO-PASS サイコパス 3』を観るのも、ブログを書くのも基本的には楽しいのですが、次回以降、もう少し効率よく書けるようにしたいですね。。。

さて、それでは、『PSYCHO-PASS サイコパス 3』の第3話を鑑賞して気づいたこと・感じたことを最後にまとめておこうと思います。

  • 炯の兄の死、慎導篤志の事件、そして、幽閉されている常守朱の事件は、おそらく同時期(2年前)に起こっているものと推察される。
  • サイコパスのテレビシリーズにおける、放送時期と劇中の年表のズレが、おおむね100年程度に統一されている。
  • 『踊る大捜査線』と『サイコパス』は、「キャリア」対「ノンキャリア」という対立構造で共通している。
  • 炯や炯の家族は「入国者への差別」と「遺伝子差別」の両方に苦しめられた過去があるものと推察される。
  • 小宮カリナを要警戒人物として扱うことで真犯人から視聴者の関心を遠ざけている可能性がある。
  • 土谷の転落死については、榎宮か梓澤のどちらかが主犯ではないか。
  • ホテルの襲撃を計画したのは、新たなインスペクターかもしれない。
  • 他国の文化に対する攻撃的な姿勢を示したことから、梓澤は鎖国派かもしれない。
  • リックの殺害事件、土谷の転落死、慎導篤志の死は、「自殺に見せかけている」という点で共通している。
  • 「自殺に見せかける方法」は梓澤が好む殺害方法。
  • 慎導篤志はシビュラシステムの真相を知っていたから、狙われた?
  • ビフロストで確保できるのは、社会ステータスの選択、あるいは、社会的身分の自由な選択であると考えられる。

そんなこんなで、『PSYCHO-PASS サイコパス 3』の第3話について語ってきましたが、ビフロストインスペクターのことがかなり気になってきましたね。

法斑が「お父さん」と呼ぶ、あのギリギリ生きているお爺ちゃんが、「勝つために育ててきた」と言っていたのも気になります。勝つためって、ビフロストで勝つためってことですかね?だとしたら、ビフロストってあのお爺ちゃんが知っているくらい、相当古い歴史を持つ場所ということになります。いったい、どれだけ前から存在しているのでしょうか。この辺りは、注目ですね。

それから、インスペクターに序列があるっぽいところも興味深いです。セカンド・インスペクターの榎宮が「もしかして焦ってるの?せっかく手に入れたファーストの地位を奪われそうで」と語っていたことからも、ファーストやセカンドという序数はあくまでも、入れ替わるもので、ファーストのほうがどうやら優れているということも分かります。では、どうすれば昇格できるのか、そして、そもそもどんなメリットがあるのか、インスペクターにも注目しつつ、第4話を観てみようと思います。

 

今回のレビューはこのくらいでお開きにしましょう。

それでは、次回のレビューまで、さようなら~~(^^)/

 

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  • 『PSYCHO-PASS サイコパス』の関連記事については、以下をご覧ください。

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