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【俺ガイル 完】『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』第2話の感想&考察!「君は、酔えない」の意味を考えてみた。

『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』第2話の画像
©渡 航、小学館/やはりこの製作委員会はまちがっている。完

『今日まで、その鍵には一度も触れたことがない。』

これは第2話のタイトルですが、ついに、結衣はとんでもない〝〟を見つけてしまいましたね。まさか、雪乃が、比企谷と一緒に写った写真を隠し持っていたとは……。しかも、その写真を枕元に隠していたとは……。想いの強さを感じてしまいますねぇ。

まあ、分かり切っていたことではありましたが、比企谷に対してあんなに強い恋心があったとは、驚きです。

それに、証拠を発見してしまった結衣の気持ちを考えると、複雑ですね。以前から、雪乃の気持ちを知ってはいたものの、こうして、はっきり物的証拠を発見してしまうと、なんだかんだ精神的ショックは大きいはず。

まさに、友情と恋心の間で板挟み状態というわけですなぁ。いやぁ、苦い。苦すぎる。

さて、そんな結衣が見つけた衝撃の事実に驚かされた第2話ですが、そのほかにも、興味深い点がいくつかありました。

陽乃の「君は、酔えない」という言葉の意味や、女子たちの暗示的な会話人物の感情を細かく表現する演出について、今回は考察を入れていこうと思います。それでは、ネタバレ全開でいろいろ語っていきますので、お暇な方は、ぜひご覧くださいませ。

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【俺ガイル 完】『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』第2話のあらすじ


「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完」オープニング映像

父の仕事を継ぎたい」という自分の意思を伝えるために、雪ノ下雪乃(ゆきのしたゆきの)は、その見届け人である比企谷八幡(ひきがやはちまん)・由比ヶ浜結衣(ゆいがはまゆい)を伴って、雪ノ下陽乃(ゆきのしたはるの)の待つマンションに訪れていた。

一息ついた雪乃は、「私たちのこと、これからの私たちについて」と言ってから、自身の導き出した「答え」の1つを陽乃に語り始める。〝私たち〟とは、すなわち、母と陽乃、そして雪乃のこと。

雪乃が将来の希望について口にすると、陽乃は意外なことに、雪乃の希望に対して「協力する」と答えたのであった。親を説得するため、雪乃はいったん自宅へ帰るための荷造りをはじめる。

一方、マンションの外で陽乃に待ち伏せされた比企谷は、歩きながら陽乃の雪乃に対する想いを知ることになる。陽乃は比企谷に「予言してあげる。君は、酔えない」と告げ、その言葉が比企谷の頭のなかを支配するのであった。

後日、いつものように奉仕部の部室に集まる、奉仕部の3人。そこに、一色いろはが現れ、「プロム(プロムナード=舞踏会)」の協力を打診される奉仕部。

雪乃はいろはの想いを確かめるように質問を重ね、いろはの本気を確かめたのち、プロムへの協力を決める。

そんななか、人知れず、とある事実を知ってしまい、激しく葛藤する結衣。雪乃の引っ越しを手伝う最中、結衣が目にしてしまったものとは……。

【俺ガイル 完】『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』第2話の感想&考察① 「君は、酔えない」の意味とは?

比企谷の耳元で囁かれた「予言してあげる。君は、酔えない」という言葉。

陽乃の言葉は、いちいち示唆的で、それでいて怖い。怖いのはなぜかと言うと、その言葉が物事の本質をついているからに他ならない。

ということで、ここでは、陽乃が放った言葉の意味を考えてみようと思います。

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。10 (ガガガ文庫)
 

「君は、酔えない」に込められた2つの意味

陽乃は自分が酔えない人間であると主張したあと、比企谷も同じように酔えない人間になるだろうと予言しています。さて、ここでいう「酔えない」とは、どういう意味なのでしょうか?その答えを知るために、陽乃の言葉に注目してみましょう。

 

「本当に酔わないんだって。もしかしたら、酔えないのかも。どんなにお酒を飲んでも、後ろに冷静な自分がいるの。自分がどんな顔してるかまで見える。笑ったり騒いだりしても、どこか他人ごとって感じがするのよね」

 

この発言から読み取れる、酔えないの意味は以下の2つに分類できます。

  • アルコールに酔えない
  • 場の空気や自分の行動に陶酔できない

このシーンでの「酔えない」は、〝アルコールに酔えない〟という意味よりも、〝場の空気や自分に酔えない〟つまり、〝陶酔できない〟という意味のほうが優位性を持っているように思われます。

つまり、陽乃はどんなことをしていても、自分を「客観視」してしまうわけです。常に場の空気や、自分を冷静にとらえてしまい、ある種の「虚しさ」や「空虚さ」を感じているものと考えられます。

そして、それは常に俯瞰的で客観的な態度をとる比企谷にも共通していると言っているわけです。陽乃は比企谷の「客観的な態度」に、自身との共通性を感じ、そういう人間は、何もかもが「他人事」であり「自分事」として、〝陶酔〟することはできないと主張しているのでしょう。

雪ノ下陽乃はどうして「酔えない」のか?

では、陽乃はなぜ、酔えない(=すべてを他人事に感じる)のでしょうか?それはまさしく、彼女のかかわっている出来事が自分に関係のない他人事だからほかなりません。

親の仕事の関係で、幼いころから、さまざまな大人と接してきた陽乃ですが、親の仕事の関係者なんて、陽乃にとっては、本来的にどうでもいい存在のはずです。

そんな自分の関心とは無関係などうでもいい会話を、幼いころから続けていたら、どうなるでしょうか?

自分事よりも他人事を優先し続けると、自分がないがしろにされ、そして、他人にとって都合のいい人間を演じる時間が増えれば増えるほど、そのぶん、自分が分からなくなってしまうのです。

人格が形成される幼少期から、他人事を優先させられていたのだとしたら、まともな自分(あるいは「自我」)が形成されることさえ、許されなかった可能性すらあります。

他人事を強要されながら生きてきて、自分事のように酔えるはずがないのです。そんな「自分の不在」「他人のような自分」という、非常に大きな悩みを陽乃は抱えているのかもしれません。

それでも、雪ノ下陽乃は「自分事」をまだ諦めていない

ただ、陽乃は「自分でありたい」という欲求自体を、捨て去っているわけではないようです。

陽乃は「たくさん諦めて、大人になっていくものよ」と真剣な面持ちで話していましたよね。

比企谷が指摘していたように、おそらく陽乃は何かをたくさん諦めてきたのでしょう。けれど、どこかでその自分の想いが残り続けているのも事実です。そうでなければ、あの陽乃には珍しい真剣な表情に説明がつきません。

その諦めてきたものこそ、陽乃が本来的に酔えること(自分事)なのかもしれません。

しかし、陽乃は親の仕事の関係で、その自分事を捨て、親の仕事という他人事にずっと付き合わされているわけで、そりゃ、酔えないのも無理はないですよね。

しかも、比企谷の「いつもお姉ちゃんしてやったら、どうですか?」の質問に、陽乃はこう言っていました、「いやよ、君とは違うの」と。

ここでの「お姉ちゃんする」とは、つまり、「〝自分のこと〟ではなく、妹という〝他人のこと〟を考えてあげること」だと思われます。それを陽乃は「いやよ」と否定するわけです。

もちろん、そこには「忙しくて時間がない」の意味も含まれていますが、おそらく「〝他人のこと〟だけじゃなくて、私自身のことも考えたいの」という意味が含まれているように思います。

陽乃が姉になり切れないのは、ひとえに、自分が自分であることをまだ諦めていない、あるいは、自分を優先させていることの証拠ともいえます。

はたして、陽乃は、他人事の世界から自分事の世界に戻ってくることができるのでしょうか?このあたりは、今後の展開に注目したいですね。

何かのフリをするときは赤面するが、本心を語るときは赤面しない

これは蛇足ですが、陽乃の〝頬〟の表現も面白いですよね。

陽乃は、基本的に何かのフリをしているとき、例えば、酔っているフリとか、優しい人間のフリをしているときには、頬が紅潮しています。

しかし、本音を語るときは、頬の赤らみが消えます。

フリをしているときは赤面して、本心を語るときは赤面しない、この赤面の使い分けによって、視聴者の側も陽乃に振り回される羽目になるわけです。

それから、紅潮しているときは明るい声紅潮していないときは素の声という形で、声の演技も連動しているため、演出と相まって、観ている側の心をさらに強く揺さぶってきます。

演出と演技の相乗効果で、陽乃のキャラクター性が際立っているわけです。まさに、アニメならではの表現と言えるでしょう。

【俺ガイル 完】『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』第2話の感想&考察② 宿命的に暗示的な女子たちの会話について

女は宿命的に暗示に富んで居る

(引用元:ボードレール シャルル・ピエール (著), 富永 太郎 (翻訳) 『人工天国 J.G.F.に』)

www.aozora.gr.jp

これは、『惡の華』でおなじみ、フランスの詩人・ボードレールの言葉です。「女は」という言い回しが、現代に生きる我々には少し抵抗がありますが、なんとなく言いたいことは分かります。

具体的に述べるというよりも、暗示的に婉曲的に表現する態度。この態度は、俺ガイルの特に女子たちの会話に見られる傾向でもあります。

第2期のラスト、葛西臨海公園で結衣が雪乃に詰め寄るシーンがあったと思います。あのシーンはかなり象徴的で、結衣は具体的なことは何も言わずに、言いたいことの周辺を述べる形で、中心にあるものを伝えようとしていました。

『俺ガイル 完』の第2話にも、こうした暗示的なやりとりが確認できました。

例えば、部室で「プロム」への協力を決める場面。

このとき、雪乃は、自分の気持ちを伝えるのに慣れていないこともあり、やたらと回りくどい言い方をしています。

 

「さっきのは私個人の意思だから。あなたたちに強制する気はないわ」

「つまり、その……部長としての判断ではないから、そこに権限はないと思うの。だからもちろん、力を貸してもらうのはありがたいけれど、私は一人でもこのプロムについて責任もってやりとげるつもりでいるというか……」

 

これに対して、比企谷は「つまり、俺たちは自由参加でもいいってことか?」と聞き返します。しかし、結衣は「違うよヒッキー。ゆきのんは、自分の力でやってみたいんだよね?」と訂正しました。

雪乃の不器用な意思表示を、比企谷は受け損ねているのに対し、その一方、結衣はしっかりと受け止めていることが分かると思います。

これは、女子同士だからこそ成立する暗示的なやりとりだと言えるかもしれません。

男子には、なかなかそういう暗示的な表現は伝わりづらいところがあるので、比企谷は雪乃の真意から少しずれた返答をしてしまったのかもしれませんね。

そのほかにも、例えば、

今やるしかない。今始めれば間に合うかもしれない。私もたぶんそうだから。だから、ちゃんと始めたい。それを見届けてもらえたら嬉しいわ」と雪乃が発言したあと、雪乃や結衣、比企谷のやりとりを見ていたいろはが、「なるほど。だいたいわかりました」と納得している場面。

雪乃は「間に合うかもしれない」とか、「それを見届けてもらえたら嬉しい」とか、具体的な言及を避けながら、暗示的に言葉を紡いでいます

しかし、具体的な言及がほとんどないにもかかわらず、いろはは、その様子を見て「なるほど」と理解してしまいます。

言外に込められている雪乃の伝えたい想いを瞬時に理解するあたりは、先ほどの結衣が雪乃の気持ちを察した場面と共通しています。

女子たちだけに分かる、暗示的な言葉のやりとりがおこなわれているわけです。女子の言語と、男子の言語の違いと言いますか……ちょっとした男女の違いを、見事に表現している場面と言えるかもしれませんね。

このように、「具体的な言葉を避けて想いを表現する」という、非常に文学的な表現を、ラノベにぶち込んでくるあたりが、俺ガイルのすごいところ。

こういう婉曲的な言い回しは、分かりやすさを追求するラノベでは本来展開しづらいはずなんですが、違和感なくスッと入れ込んでくるんですよね。

この暗示的な表現には、ボードレールも思わず称賛を送りたくなるでしょうね。

【俺ガイル 完】『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』第2話の感想&考察③ セリフがなくても伝わる結衣と比企谷の動揺

前回も触れましたが、俺ガイルは、仕草や行動で、人物の抱える心情や心の揺れを表現するのがうまいですね。

第2話では、とくに、衝撃的な事実を知ってしまった結衣の心の揺れが丁寧に表現されていました。

恋心と友情の間で板挟みになる由比ヶ浜結衣

部室で比企谷が「引越しは無事終わったのか?」と、雪乃に尋ねる場面。

比企谷のこの発言の直後、それまで笑顔だった結衣が「あっ」と呟いたあと、カップを持って固まります。

このとき、結衣の頭のなかには、荷造りのときに見つけた例の写真のことがフラッシュバックしていたものと推測されます。何気ないやりとりのなかに、結衣の揺れる気持ちが表現されていることが分かりますよね。

その後、「全然たいしたことしてないし」と謙遜する結衣に、雪乃が「本当に助かったわ。ありがとう」と返すと、結衣の瞳が輝き、嬉しそうな表情になります。これは、友達の雪乃に感謝されたことに素直に喜んでいる表情だと推測できます。

比企谷と雪乃の写真を思い出して呆然とした直後に、友達の雪乃から感謝されたことを嬉しく思っており、この一瞬のやりとりで、恋心と友情との間に結衣が立たされていることが表現されているわけです。

どちらも、結衣にとって大切だということが、直接セリフで語られることはなくても、視聴者にちゃんと伝わる演出になっているのです。

うーん、とはいえ、演出はすごいですけど、考えれば、考えるほど、結衣が気の毒に思えてきますねぇ。

鍵を探しに行く様子から分かる比企谷八幡の動揺

比企谷が動揺しているシーンも注目ポイントです。

例えば、比企谷が結衣と一緒に部室に向かう場面。部室に到着すると、部室には鍵がかかっており、比企谷は「ちょっと鍵とってくるわ」と言ったあと、「待って」という結衣の声に気づかないまま、歩いていってしまいます。

さて、なぜ結衣の声に気づかなかったのでしょうか?

それは、おそらく、ほかのことを考えていて、頭がいっぱいだったからでしょう。こういう場面から、いつもは冷静な比企谷も、実際には余裕がなくなっているという事実が読み取れるわけです。

比企谷が、どんな風に動揺するのか、今後もチェックしていきたいポイントですね。

【俺ガイル 完】『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』第2話の感想&考察のまとめ


「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完」エンディング映像

個人的な話ですが、陽乃の「君は、酔えない」という言葉は、かなり刺さりましたね。 私も実は、陽乃や比企谷と少し似ていて、「場の空気に陶酔できない」みたいなところがあります。

幼少期、NHKの「おかあさんといっしょ」という番組に出たことがあったんですが、周囲の子は楽しそうに、歌のお兄さん・歌のお姉さんと遊んでいるのに、私は何が楽しいのか全く理解できず、呆然としていたことを覚えています。

5歳にも満たない頃から、私は「無邪気に楽しむ」みたいなことができなかったんですよね。なので、みんなで楽しみを共有できる(陶酔できる)人が、今でもすごく羨ましいんですよねぇ。

とまぁ、余計なことはさておき……。最後に『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。完』第2話の感想&考察をまとめておこうと思います。

  • 「君は、酔えない」という言葉には、「アルコールに酔えない」と「場の空気や自分の行動に陶酔できない」の2つの意味が込められている
  • 陽乃は、幼少期から親の仕事という「他人事」に付き合わされているせいで、自分の感情や行為までもが他人事に見えるようになってしまったのではないか?
  • 陽乃は完全に「自分事」を諦めてしまったわけではない
  • 陽乃を描く際、何かのフリをしているときは赤面させ、本心を語るときは赤面させないという使い分けがおこなわれている
  • 言外に込められている雪乃の伝えたい想いを、結衣といろはは理解している
  • 女子だけに分かる、暗示的な言葉のやりとりがおこなわれているのではないか?
  • 写真を思い出して呆然とし、雪乃から感謝されたことに喜ぶというリアクションを描き、恋心と友情との間に結衣が立たされていることを表現している
  • 比企谷が結衣の言葉に気づかず、鍵をとりに行ってしまったのは、ほかのことで頭がいっぱいで、余裕がなくなっていたため

はい、長くなりましたが、第2話の感想はこんなところです。

第3話以降も、放送後に更新する予定ですので、そのときもまた、ご覧いただければ嬉しいです。

それでは、またお会いしましょう。

さようなら~。

 

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