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『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第5話の感想&考察!サスペンスが光った第5話!公安局のキツネは誰なのか?

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第5話の画像
©サイコパス製作委員会

「はい、小畑ちゃん。出島のお土産~」

という梓澤の言葉をはじめ、『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第5話には「出島」というワードが何度も出てきました。シスター・テレーザが代表を務める正道協会(CRP)も、もとは出島で設立されたもの。慎導灼の父・慎導篤志もシビュラ輸出のために出島で働いていたことがあり、自爆犯の犠牲になった久利須=矜治・オブライエンももとは九州支部の入国管理を担当していたことが分かっています。出島は長崎県ですから、オブライエンが担当した九州支部とも位置的に重なります。

慎導篤志の名前が出てきたことから考えても、出島は過去の事件と現在の事件をつなぐ重要な場所であると考えられます。

第3話のブログで、ビフロストって出島にあるのでは?と推理しました。その理由は、インスペクターの些々河哲也(ささがわてつや)の逃亡先が出島だったのと、ビフロストの内観が映された後、外観として出島らしき港湾都市が映されたから。ビフロストが出島にあるかどうかは、まだ判然としませんが、出島が海外と日本をつなぐ貿易都市であり、一連の事件の中心地であることは間違いないでしょう。

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外務省行動課も最初から出島に目を付けていたようなので、ここから推測できる展開としては、第6話のラストか第7話辺りから、外務省行動課による国外捜査に話が切り替わる可能性はありそうです。

特に今回は「密貿易」の話が出てきたので、国内の問題から始まった捜査が、出島という貿易都市を基点にして、国外捜査に切り替わり、最終的に国内に視点が戻る。こうした展開が予想されます。

今回の自爆テロ事件をきっかけにして、いよいよ外務省行動課が動き出しそうですね。出島付近の調査を刑事課一係が担い、国外捜査を外務省行動課が担当する。このようにして、内側と外側で協力調査が行われたら面白いかもしれません。

 

さて、それでは、そんな今後の展開が期待できる『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第5話を観て気づいたこと・感じたことをネタバレ全開で書いていこうと思います!

子ぎつねは何者なのか?」、「公安局に潜むキツネは誰のことなのか?」などについても考察しましたので、ぜひご覧ください!

 

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『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第5話「アガメムノンの燔祭」のあらすじ


TVアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス 3」ノンクレジットOP

目を覚ました慎導灼は、ベッドの上に横たわっていた。「俺がいない時にメンタルトレースをするな」と炯(けい)・ミハイル・イグナトフから注意を受ける灼。

灼が倒れていたその時、炯は廿六木から提供された情報をもとに、以前起こった密貿易事件捜査中の被疑者および監視官の事故死について調べを進めていた。死亡した被疑者が最後に面会していた梓澤に関して、事件を捜査した元監視官へ事情を聞く炯。炯は、生き残ったその元監視官から「キツネは公安局にもいる」という不気味な言葉を受け取ることになった。

後日、入国者の自由な布教活動を認める信仰特区設立にあたって、特区となる三郷ニュータウンでは都知事・小宮カリナを招いたPRイベントが開催され、刑事課一係はそのイベント会場の警備にあたっていた。平穏無事に終わると思ったPRイベントだったが、会場にいた観客が突如、舞台上に上がり腹の中に埋め込まれた爆弾と共に自爆。

解析の結果、自爆犯・マルセル・コタール催眠薬を服用していたためセンサーに感知されなかったことが判明。事件現場にいた宗教特区賛成派は1名を除き死亡。逆に、反対派は全員が生き残った。状況から判断し、特区反対派によるテロ行為にマルセルが利用されたのではないかと推測。一係は反対派の事情聴取を開始する。

特区反対派のテレーザ・シノギジョセフ・アウマトーリ・S・アッシェンバッハへの取り調べを進める一係。だが、どの人物も一様に犯罪係数が低く、誰がかじ取り役なのか主犯を特定できずにいた。そんな中、ジョセフ・アウマから、盗まれた医療ドローンが見つかったとの知らせを受け、灼は捜査協力者の六合塚らを連れて現場へ向かう。見つかったドローンには爆弾を埋め込んだとされる5つの手術記録が残されていた。

同じころ、もう1人の関係者、久利須=矜治・オブライエンへ話を聞くため、炯はオブライエンが入院する病院を訪れる。来客中であったが、強制権限を行使し、オブライエンの病室へ向かう炯。だが、その最中、オブライエンの病室が自爆テロに遭い、オブライエンは死亡。

自爆犯は前回同様、ヘブンズリープの信者であることが判明するも、爆弾の出どころは特定できなかった。ドローンに記録された5つの手術記録から、残り3発の爆弾があると推測し、一係は爆弾を探しに医療ドローンの名義人であるテレーザの自宅へ捜査に入る。

爆弾は見つからなかったものの、テレーザの自宅から、「出島で起きたテロの報告書」、「密売組織のリスト」、「ニュータウン倉庫内の管理書類」について記録されたメモリが見つかる。分析官・唐之杜志恩(からのもりしおん)により、ヘブンズリープが国賓を通して国外へ密輸を行っていたことが判明。密貿易の中身を突き止めるためオブライエンの管理していた倉庫、同時に、教団への調べを進めることになる。

国賓として招かれている男がヘブンズリープ教祖代行の叔父であることから、事件との関連性を睨んだ灼と炯は、捜査のため国賓を軟禁。雛河執行官の作成したホロをまとって、国賓を装い、教団への潜入捜査を始めようとしていた――。

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第5話の感想&考察① サスペンスと感情移入の伏線が見事な第5話!

前回のブログで『PSYCHO-PASS サイコパス 3』のプロットを紹介したところ、評判が良かったため、第5話に関しても「三郷ニュータウン自爆テロ事件」から始まる話が、どのように展開したのか流れをまとめてみようと思います。

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プロットを眺めながら、気づいた今回の脚本の抑えるべきポイント、テクニック、この辺りについても簡単に触れていきます。

三郷ニュータウン自爆テロ事件」(第5話のプロット)

  1. 事件①発生……三郷ニュータウンにて宗教特区設立に伴うPRイベントの開催中、ヘブンズリープの信者による自爆テロが発生
  2. 犯人の分析と容疑者の洗い出し……自爆犯が操られていたことが判明し、容疑者として4名の人物が浮上
  3. 容疑者全員へ聞き取り調査……テレーザ・シノギ、ジョセフ・アウマ、トーリ・S・アッシェンバッハ、久利須=矜治・オブライエンへの聞き取りを開始
  4. 主人公の妻の情報……舞子・マイヤ・ストロンスカヤが手術を控えていることが分かる
  5. 容疑者からの情報提供(サスペンス)……ジョセフ・アウマより、盗まれた医療ドローンが見つかったと連絡を受け、医療ドローンによる爆弾の埋め込み手術に関する記録を発見、爆弾がまだ残っていることが判明
  6. 事件②発生・容疑者死亡(混迷)……炯の向かった病院で、久利須=矜治・オブライエンがヘブンズリープの信者の自爆により死亡
  7. 容疑者宅の家宅捜索……医療ドローンの名義人であるテレーザの家を家宅捜査
  8. 容疑者に関する新たな情報の入手による捜査方針の見直し……テレーザ宅で情報を手に入れ、密貿易に関する情報を入手後、教団への潜入捜査へ
  9. 主人公の妻の情報(サスペンス)……舞子の手術が始まる
  10. 潜入捜査……ヘブンズリープへの潜入捜査を開始

ビフロストのシーンは割愛しましたが、第5話の骨組みはだいたいこんな感じ。

前回説明したように、やはり『PSYCHO-PASS サイコパス 3』のプロットは、最初に何かしらの事故か事件が発生し、その後に別の事件が起こるという構造になっているようです。「事故or事件→別の事故or事件」の流れですね。これは「大型輸送機墜落事件」と「ホテル襲撃事件」の時と同じ。

第5話では、三郷ニュータウンでの自爆テロの後、病院での自爆テロが起こりました。そして、二度目の事件によって事態が混迷し、刑事が困る展開になりましたね。別の事件の発生を描くことにより「これからどうなるんだろう?」というハラハラ感を演出することに成功しています。

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ハラハラ感で言えば、上記の「容疑者からの情報提供」の部分で、さりげなくサスペンス性を生む情報が提示されていました。医療ドローンによる爆弾の埋め込み手術が、5件あるという情報です。

1件はすでに爆発しており、もう1件も病院で爆発しているが、残る3件はまだ使用が確認されていません。残り3発。早く見つけ出さないと、どこで爆発するか分からない。これは数量式のサスペンスですね。いわゆる「あと何秒以内に逃げないといけない」という形で、危険が迫っていることを視聴者に認識させ、観ている側をドキドキさせる手法です。時間や数量を提示して、緊急性を高めているわけですね。

また、サスペンス的な演出がされていたシーンは他にもあります。炯の妻・舞子が手術室に入るシーンです。舞子の手術が成功したかどうかは、まだ視聴者に示されていません。そのため、視聴者としては「舞子ちゃんの手術どうなるんだろう?」と不安になります。これも一種のサスペンスです。ハラハラしますからね。

爆弾どうなるんだろう?」と「手術大丈夫かな?」という2重の引きを用意してるわけです。

しかも、これから炯はヘブンズリープ教団へ潜入捜査に入るわけですから、炯がどうなるのか?という引きも機能しています。

3つのサスペンス的なハラハラ要素を設けておき、エンディングへ入る。巧妙ですね。1つだけだと、次回以降の引きとして弱いかもしれないですけど、サスペンスが3つも用意されていれば、そりゃ気になりますよね。

3つのサスペンスは、少しだけ機能性が異なるので、その点も認識しておくとよいかもしれません。「爆弾」と「舞子の手術」は不安感をあおるサスペンス要素。「炯の潜入捜査」は期待感をあおるサスペンス要素。心配させる情報か、期待させる情報かの違いですね。

「爆弾」や「舞子の手術」に対しては「大丈夫かな?」という不安感を覚えますが、炯の潜入捜査に対しては心配というより、どんな秘密が暴かれるのか?という期待感のほうが強いはずです。第5話は、今後の不安と期待の両方で視聴者を引き付けているわけです。

第5話で描かれているのは、今まで以上に多数の視点を入れた事件なので情報量が多く、尺がギリギリで本編の最後がエンディングに若干被っていたほどです。

それでも、第5話は冲方丁×深見真×吉上亮という3人態勢で書かれたことで、情報を過不足なく入れながら、サスペンスのある描写で観客の関心を引く造りになっていましたね。凄まじいテクニックが入り乱れる第5話でした。

ちなみに、舞子の手術は事件と少し絡んできそうなので、その点については以下の「自爆テロ事件のポイントは「兵器」と「医療」」で語らせていただきます!

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第5話の感想&考察② 子ぎつねって誰?公安局に潜むキツネって誰?

第4話のラスト、灼が倒れる前にメンタルトレースで見えた「子ぎつね」。あれはいったい何者なのでしょうか?

現時点では、梓澤廣一の幼少時代の姿だと考えられます。梓澤だと考えられる理由は2つです。まず1つめが梓澤の名刺を見たきっかけでメンタルトレースに入ったから。2つめが、メンタルトレースの能力が無意識に発動したからという理由です。

1つめは分かりやすいですよね。灼がメンタルトレースしたタイミングは、小宮カリナと別れた後、梓澤の名刺を眺めるところでした。梓澤の名前に反応してメンタルトレースしたのなら、あの子ぎつねは梓澤だと推測できます。

次に、2つめの「メンタルトレースの無意識の発動」についてです。灼のメンタルトレースは意識的に発動する場合と、無意識に発動してしまう場合の2パターンがあるように見えます。

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普段は耳にイヤホンを付けて、ノイズ音を聞いてからメンタルトレースに入っています。しかし、今回の場合はどうでしょうか?梓澤の名刺を見た途端、イヤホンもノイズ音もなしに、自動的にメンタルトレースに入っていました。実は、今回と同じように無意識にメンタルトレースした場面が、第1話に描かれています。大型輸送機墜落の現場を1回目に訪れたとき、灼は何もつけずにメンタルトレースを行っていました。

意識的というよりは、いつの間にか梓澤の意識に入ってしまった感じで、正面に向かって目を見開く様子が描かれています。子ぎつねが見えた時も、イヤホンを付けず正面に向かって目を見開く構図でした。しかも、メンタルトレースをしたのは、梓澤の名刺を見てからです。

そして、梓澤が映像を撮影していた大型輸送機墜落時には雨が降っており、今回、灼がメンタルトレースした時も雨が降っていました。共通点が多いですよね。これらの点から、現時点であの子ぎつねは梓澤の少年時代であると推測されます。

 

キツネと言えば、もう1つ気になるのが「公安局にいるキツネ」です。第5話の冒頭で示されたこの言葉ですが、いろいろ考えてみて、私は2つの可能性があると推察しました。

1つが「ヘブンズリープの信者の可能性」。炯がヘブンズリープの教祖代行へ聞き取り調査を行った際、代行から「厚生省では多くの信者が働いている」という言葉が出ました。教祖代行のトーリは、梓澤と同じように様々な役職を転々としており、その特徴から考えて、おそらくインスペクターの1人だと思われます。

インスペクターが指導する教団の信者が厚生省で働いているわけですから、「公安局の中にキツネがいる」、ここで言うキツネがヘブンズリープの信者を示している可能性は十分あるでしょう。

そして、もう1つが法斑静火の可能性です。なぜ法斑が公安局のキツネなのか?理由は大きく2つ。

1つめが、法斑がビフロストの場でやたらと公安局をひいきしている点。法斑は、リレーションの際、毎回のように厚生省および公安局に賭けており、この点に関しては裁園寺からも指摘されていましたよね、「相変わらずの公安局びいき」と。

何らかの理由があって、法斑は公安局が勝つ方向に賭けているのでしょう。もし、法斑が厚生省および公安局の人間であるなら、この公安局びいきの姿勢にも説明がつきます。厚生省に勤めていた慎導篤志がかつてキツネだった前例があるので、法斑が公安局の人間でありながらビフロストに参加している可能性は考えられます。

理由の2つめは、犬を散歩していたからです。第5話の途中、法斑が犬を散歩している何気ないシーンが映りましたよね。あのシーンって、普通に考えると余計だと思うんですよ。特に何の情報性もないので。しかし、わざわざ話の中に組み込んでいるわけですから、そこには何かしらの意味があるはずです。そこで、私はこの散歩シーンを記号化して考えてみました。

サイコパスでは公安局の人間、特に刑事のことを「犬」に例えて表現しています。第1話のタイトルに出てくる「ライラプス」は猟犬のことで、常守も炯や灼のことを「猟犬」と表現しています。刑事=猟犬なわけです。

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そこで、法斑が犬を連れているシーンを再解釈してみます。犬=刑事ですから、法斑は刑事をリードにつないで手懐けていることになります。つまり、刑事、もう少し大きく捉えれば公安局を法斑が手懐けている、それを象徴する意図で、あの散歩のシーンは描かれたのだと推察されます。

かなり記号化した見方なので、全然的外れかもしれませんが、可能性の1つとして考えてみました。

 

ちなみに、話が前後しますが、灼が見た「子ぎつね」が梓澤ではなく、法斑という可能性も若干残っています。なぜなら、あの子ぎつねは「やだ、やだよ。お父さん(orお母さん)」と口にしていたからです。

すみません、何度聞いても耳が悪いのか、「お父さん」と「お母さん」のどちらを口にしているのか、よく聞き取れませんでした。分かった人がいたら、教えてもらえるとありがたいです。。

それで、なぜ子ぎつね=法斑なのか?という話ですが、法斑には確か「お父さん」と呼ぶ相手がいましたよね?お父さんと言うか、完全にお爺さんみたいな白髪の老人に「お父さん」と言って応答するシーンがあったと思います。

そして、その老人は「勝つためにお前を育ててきた」と言ってましたから、法斑は望まぬスパルタ教育を受けて育った可能性があります。

そのため、メンタルトレースに出てきた時「やだ、やだよ」と苦しみの声を漏らしていたのかもしれません。

まぁ、今の時点では推測に過ぎませんが、「子ぎつね」の正体としては、梓澤か法斑が有力っぽいですね。

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第5話の感想&考察③ 自爆テロ事件のポイントは「兵器」と「医療」

これまでの「大型輸送機墜落事件」や「ホテル襲撃事件」に増して、「三郷ニュータウン自爆テロ事件」は、ややこしい構造ですよね。単純に容疑者が多いし、灼が言っていた通り、全員が怪しく見えます。

それと、貿易だとか、医療だとか、事件に付随して出てくる要素が多いこともあって、余計ややこしい。何に注目すればよいのか特定しづらいため、複雑な事件に感じるわけです。

こういう時は、事件やその周辺で起きている事柄を、簡易的にカテゴライズするのが得策と言えます。

今回の事件は、「兵器」と「医療」という2つの要素に分解すると、少し分かりやすくなりますよ。

まず思い出してほしいのが「三郷ニュータウン自爆テロ事件」を起こした犯人についてです。自爆犯は「催眠薬」を投与された状態で、腹に「爆弾」を埋め込まれていました。自爆犯について解決すべき要素は、上記の催眠薬と爆弾の2つです。この場合「催眠薬→医療」、「爆弾→兵器」という感じで大まかにカテゴライズできます。

この2つのカテゴリのうち現在、刑事課一係が目を付けているのは「兵器」のほう。「医療ドローンを使って爆弾が埋め込まれた事実」、「アウマが兵器を捨てて入国した情報」など、いずれも兵器に関わる情報で、医療関連の調査はそれほど進んでいません、というか注目していません。

兵器に関わる情報しか掴んでいない現状で、この事件を解明することは難しいでしょう。事件に大きく関わる催眠薬についての情報と推理がないわけですからね。ピースが欠けている状況と言えるかもしれません。

そのため、おそらく次回・第6話では、医療関連の情報を刑事課一係が掴んでいき、第5話で入手した兵器関連の情報と統合することで、真相に辿り着くという流れになるものと推察されます。最後のほうでは、貿易関係の話が出てきて、いよいよ外務省行動課の出番になるかもしれませんね。

上記のように、事件に関する情報を整理するために、まずは「兵器関連の情報」と「医療関連の情報」を分類し、リスト化してみました。

現在判明している「兵器関連の情報」

  • 自爆犯は医療ドローンの手術を受けて、腹に爆弾を仕込んでいた
  • 爆弾を埋め込んだ医療ドローンの名義人はテレーザ・シノギ
  • 医療ドローンによって埋め込まれた爆弾は残り3発
  • 三郷ニュータウン自爆テロ事件の犯人も、久利須=矜治・オブライエン殺害事件の犯人も、いずれもヘブンズリープの信者
  • ジョセフ・アウマは入国にあたり武器を没収されている
  • テレーザ・シノギの自宅から「出島で起きたテロの報告書」、「密売組織のリスト」、「ニュータウン倉庫内の管理書類」が見つかる
  • ヘブンズリープは国賓を通じて密貿易していた

現在判明している「医療関連の情報」

  • 自爆犯は催眠薬を投与されていた
  • 自爆犯は「医療ドローン」を用いて腹の中に爆弾を埋め込まれていた
  • 久利須=矜治・オブライエンは「病院」で自爆テロの被害に遭った
  • 久利須=矜治・オブライエンがいた病院は入国者に対して違法な薬物治療を施していた
  • 久利須=矜治・オブライエンの妻は病死、オブライエンは息子と暮らしている
  • 久利須=矜治・オブライエンは末期がんだった
  • テレーザ・シノギの自宅には延命治療中の青年がいる
  • テレーザ・シノギの自宅から「出島で起きたテロの報告書」、「密売組織のリスト」、「ニュータウン倉庫内の管理書類」が見つかる
  • ヘブンズリープは国賓を通じて密貿易していた
  • 舞子・マイヤ・ストロンスカヤが目の手術中である

舞子・マイヤ・ストロンスカヤの手術は大丈夫なのか?

こうして並べてみると、いくつか見えてくるものがありそうです。

ちょっと怖いのが、このカテゴライズで見た時に、舞子の手術に関しても、何らかの影響を受ける可能性が考えられる点です。催眠薬やら、病院での自爆テロやら、入国者に対する違法な薬物治療やらと並んで、わざわざこのタイミングで舞子の手術が描かれているわけですから、舞子も事件の被害を受けることになるかもしれません。どの事件にも入国者が関わっているので、その点でも入国者の舞子が巻き込まれそうで心配になります。

事件の背後にある入国者への「医療差別」

死亡した久利須=矜治・オブライエンの妻が病死しており、なおかつ、オブライエン自身が末期がんというのもポイント。あれだけ医療が発達している社会で、末期がんという状態を考慮すると、十分な医療措置をこれまで受けてこられなかった可能性が考えられます。同様に、オブライエンの妻も十分な医療措置を受けられなかったことが原因で亡くなったのかもしれません。

一係が医療ドローンを発見したとき、その医療ドローンは闇流れのものだったことが判明します。それに対し、六合塚は「医師不足を補うために黙認されている」と言っていました。つまり、未認可の医療ドローンを使わなければならないほど、入国者への医療措置が間に合っていないわけです。ここから考えても、オブライエンやその妻がまともな治療を受けられなかった可能性が推察されます。

冒頭のシーン、オブライエンは病状をテレーザに伝えたあと、「開国してもこの国は何も変わらなかった」と発言しました。病気の話から、国の話へシフトしていることを考慮すると、やはり医療差別が彼の行動の動機になっているように思われます。

実際、オブライエンの発言を裏付けるように、現在でも「入国者に対する違法な薬物治療」が行われていたわけですからね。違法な薬物治療の隠ぺいを剥ぐ目的もあって、襲われると分かっていながら、オブライエンは意図的にあの病院に入ったという可能性も考えられます。あの自爆テロが原因で、結果的にあの病院の入国者に対する違法な薬物治療が暴かれたわけですからね。

そう言えば、第3話では舞子を連れて病院へ訪れた炯の前に、入国者への差別発言をする人が現れましたよね。あれは、第5話以降に展開していく入国者に対する「医療差別」とそれに関連して発生する自爆テロの伏線になっていたと推測することができますね。

催眠薬でサイコパスがコントロールできる点に注目!

もう1つ医療関連で触れておきたいのが、薬物に関してです。

最初の自爆犯からは催眠薬が見つかりました。そして、その催眠薬の効果はサイコパスをクリアにするというものでした。

もし、薬物を使ったサイコパスのコントロールが可能なら、ドミネーターを向けてクリアだった容疑者たちの中で、本来はサイコパスが濁っている人間が紛れている可能性があります。

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薬物治療している有力候補は、テレーザ・シノギ。信徒に対して薬物治療をしているのか、自分に投与しているのか、その点は疑問です。しかし、信仰以外の手段でサイコパスの安定を実現している線はあります。

というのも、小宮カリナのホロが踊っているシーンにて、トーリ、アウマ、テレーザの3人が会話していたと思うのですが、その時、トーリはテレーザに向かって「信仰が色相を清めると証明すべきでしょう?」と語ります。

この時、間にいるアウマは無反応ですが、テレーザはわずかに俯き顔色を曇らせます。この発言に反応したことを考慮すると、テレーザが「信仰以外で色相を清めている」可能性が考えられます。

トーリはテレーザの薬物治療の秘密を知っていて、テレーザは弱みを握られているのかもしれませんね。いずれにしても、「薬物でサイコパスがコントロールできる」この点はポイントになってくるはずです。

アウマは自爆犯の人選担当者?

上記で分かるのは、オブライエンとテレーザは「医療関連」の動機を持っている可能性が高いということ。

では、アウマはどうでしょうか?オブライエンもテレーザもアウマも、同じ懐中時計を持っていたので、出島時代の旧友としての信頼関係はありそうです。ただし、アウマが動く動機は2人と少し違うかもしれないですね。

アウマに関して大事なのは、「兵器関連」の動機じゃないでしょうか?もともと兵器を没収された身ですから、武器に関する何らかの動機を持っていても不思議ではないでしょう。

アウマの情報提供によって、医療ドローンが見つかった点も気になります。あの医療ドローンはあくまでも名義人がテレーザだったというだけの話で、誰が爆弾を埋め込むよう実際に操作したのかは分かっていません。

アウマはニュータウンにおける工場労働者の顔役ですし、最初の自爆犯はそういえば工場労働者でしたね。上記の点を考えると、アウマが自爆犯の人選を担当した可能性はありそうです。

自爆テロが役割分担によって成立していた可能性と、共犯者の反逆の可能性

今回の事件が厄介なのは、特区反対派が全員生存しているという点。この点を考慮すれば、トーリ、テレーザ、オブライエン、アウマの誰かが単独で行ったというのは現実的ではないでしょう。

つまり、最初の自爆テロそのものは全員が了解済みだったわけです。ただし、途中で予定がズレた可能性はあります。

そもそもトーリがインスペクターだったとするなら、わざわざヘブンズリープの信者を自爆テロに使うでしょうか?教祖代行である自分に疑いの目が向くことになるので、あまり賢いやり方とは思えません。トーリは、自爆については了承していたものの、人選については把握していなかったのではないでしょうか?

また、重要なのがあの場にいた人間の中で、オブライエンの犯罪係数だけが上昇したこと。もし、自爆テロの犯罪にオブライエンが加担していたのなら、それを知って主催者として小宮カリナを招待した場合、小宮が死ぬことを想定して呼ぶわけですから、サイコパスは悪化しやすくなります。

一番死に近いオブライエンに、一番犯罪係数が上がりやすい役割を担わせたのではないかと推察されます。

 

上記を整理して見えてくるのは、自爆テロを成立させるための役割分担です。

  • ヘブンズリープ教祖代行・トーリが犯罪を「計画」
  • 工場労働者の顔役・アウマが「人選」
  • 正道協会(CRP)代表・テレーザが「薬物の調達」
  • 入国管理局オブザーバー・オブライエンが「PRイベントの主催」と「爆弾の埋め込み」

必ずしもこの形ではないかもしれませんが、こうやって1つの事件を成立させるにあたって複数の人間で役割分担することにより、色相悪化を防いでいた可能性があります。これなら、今までインスペクターが計画した事件と構造が似ていますし、ある程度現実味もありそうです。

ただ、彼らの共犯関係がどこかでズレたという点も考える必要があります。というのも、トーリにとってのマイナスが多すぎるので、バランスが明らかに悪いんですよね。少なくとも「自爆犯が爆破テロを起こす」ここまでは確実に認識を共有しているはずです。では、どうしてズレてしまったのか、それぞれの動機から紐解いてみましょう。

薬物関連の動機を持つオブライエンとテレーザ兵器関連の動機を持つアウマ、ではヘブンズリープの教祖代行・トーリの動機は何か?事件との直接的な関係性は分かりませんが、おそらくは貿易関連の動機でしょう。国賓を通じて密貿易をしていたわけですからね。

ここをベースにして、トーリ以外の人間による反逆を想定してみると、いろいろ面白いことが分かります。

爆弾を捜索中、テレーザの家から密貿易の資料が見つかるシーンって、よくよく考えると少し変ですよね。あの資料をきっかけに、ヘブンズリープの密貿易が明かされるわけですが、しかし、どうしてあんな場所にあんな大事な情報を残しておいたのでしょうか?

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あのタイミングで失踪した場合、家宅捜査されることなどテレーザは重々承知のはず。隠しておきたいのなら、失踪の際にあの機密ファイルを一緒に持ち出さないとおかしいですよね。でも、あえてあの場所に置いてあった。まるで、見つけてくれと言わんばかりに。ただし、テレーザが連れ去られていた場合は、話が変わってきます。持っていく余裕がなかった可能性がありますので。

とはいえ、自爆犯がヘブンズリープの信者だった点、テレーザの自宅から密貿易の資料が見つかった点、どれもヘブンズリープの教祖代行のトーリが困るものばかり。どうにもヘブンズリープの隠ぺいを剥がそうという意図が裏側で働いているように思えてなりません。

 

私が憶測できるのはここまで。

これより先の具体的な動機や手段はよくわかりませんね。

すみません、長々と世迷言を並べてしまって。。

邪推もここまで全力でやると楽しいですね!適当に書いているので、的外れの可能性大ですけども。。

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第5話の感想&考察④ テレーザの家にいた青年は誰なの?

テレーザ・シノギの家で延命治療を受けていたあの青年は、いったい何者なのでしょうか?結論を言うと、おそらくですが、オブライエンの息子だと思われます。

オブライエンのプロフィールに「息子と暮らしている」ことが明記されていましたし、冒頭、テレーザが「あの子を見守る時間はまだある」と言うと、オブライエンはうつむきます。この反応から考えて、あの子=オブライエンの息子と推測できます。

そのオブライエンの息子と思しき青年については、謎が多いですよね。そもそも、どうして昏睡しているのかが分からないですから。ただ、ヒントはいくつかあります。

まず、テレーザは、灼がメンタルトレースの能力を持っていることを知っていました。そして、そんな灼に対しテレーザは、「存在しないものを見るあまり、暗闇の道を選ばないようにね」と語り掛けます。その直後のシーンで、テレーザは延命治療を受ける青年の頭をさすりながら、「この子の時間は止まってしまったとしても、あなたまでそうなるべきじゃないわ」と言います。

ここで言う「あなた」とは、誰のことなのでしょうか?前のシーンで灼に語り掛けていたことから判断すると、やはり「あなた」は灼のことを指していると考えるのが妥当でしょう。

いくら父親の篤志と昔馴染みだったとはいえ、テレーザは灼の能力について詳しすぎる印象があります。灼も先ほどのテレーザの言葉を受けて、驚くような表情を浮かべていましたから。

ここまでテレーザが灼の能力に詳しいのは、身近に同じ能力を持った人間がいたからなのかもしれません。それがあの青年だった可能性があります。灼が以前陥ったように、青年は何らかの理由でメンタルトレースから戻ってこれなくなってしまったのではないでしょうか?それで昏睡状態になっているものと推察されます。

もし、メンタルトレースの能力を灼以外でも持てるのだとしたら、能力発現の条件が気になるところです。薬物治療とか関係してくるんですかね。この辺はまだよく分からないので、第6話以降、あの青年が何者なのかに注目しながら、鑑賞してみようと思います。

『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第5話の感想&考察のまとめ

そういえば、複数の肩書を選択できるところが、インスペクターやコングレスマンの特徴である点については、第3話のブログで予想できたので、地味にうれしい気分です。どうして身分や肩書を選択できるようにしているのか、その理由については、以下の記事の「カードって何?ビフロストで得られる権利について」の中で考察しています。もしよかったら読んでみてくださいね。

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それにしてもインスペクターについて気になるのが、名刺のデザインの違い

梓澤の名刺には「代表取締役」だとか、QRコードみたいなものも含め、いろいろと書いてあるのですが、榎宮の名刺には名前以外書かれていないように見えました。名前だけしか書かれていないのは篤志も同じです。

しかし、梓澤、些々河、それからコングレスマン・法斑の3人の名刺には名前以外の情報も印刷されています。この違いは何か、今のところ判然としないので、次回以降の放送で注目してみます。

それでは、最後に『PSYCHO-PASS サイコパス 3』第5話を観て気づいたこと・感じたことをまとめておこうと思います。

  • 慎導篤志の名前が出てきたことから考えても、出島は過去の事件と現在の事件をつなぐ重要な場所である。
  • 今回の事件もこれまで同様「事故or事件→別の事故or事件」の流れで進行している。
  • 3種類のサスペンス的なハラハラ要素で視聴者をくぎ付けにしていた。
  • メンタルトレースで見えた「子ぎつね」は、梓澤か法斑の可能性が高い。
  • 「公安局のキツネ」とは、「ヘブンズリープの信者」か「法斑」のどちらかを指しているだろう。
  • 自爆テロ事件のポイントは「兵器」と「医療」。
  • 舞子が事件に巻き込まれる可能性がある。
  • 未認可の医療ドローンを使わなければならないほど、入国者への医療措置が間に合っていない。
  • 事件の背後には入国者に対する医療差別の問題がある。
  • テレーザは「信仰以外の方法(薬物)で色相を清めている」可能性がある。
  • 自爆テロ事件を成立させるにあたって複数の人間で役割分担することにより、色相悪化を防いでいた可能性がある。
  • 一番死に近いオブライエンに、一番犯罪係数が上がりやすい役割を担わせたのではないかと推察される。
  • ヘブンズリープの隠ぺいを剥がそうという意図が裏側で働いている可能性がある。
  • テレーザの家にいた青年はオブライエンの息子ではないか?
  • 昏睡状態の青年は、灼と同じ能力を持っているのではないか?

はい。長くなりましたが、今回はこのくらいでお開きにしましょう。

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それでは、次回のレビューでお会いしましょう。さようなら~~(^o^)/

 

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自殺が存在しない国

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  • 作者:木島 祥尭
  • 発売日: 2020/09/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
  • 『PSYCHO-PASS サイコパス』の関連記事については、以下をご覧ください。

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